第55話「ギルド長の1日」
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される小さな泡がゆっくりと上がっていった。ズラリと並んでいる中のとある円筒内は、血が漂っていた。
それを無表情で一瞥したスヴェートは正面へ近づくと、手をつけた。その眼前に広がるのは、数多ものドロイドが造られている光景だった。20分ほど眺めた後、彼女はこの場から立ち去った。
午後17時頃となり、スヴェートはアフタヌーンティーで焼き菓子カヌレを食した。その後は飲み物を飲み、端末でブリリアンス艦船の設計図を観た。
午後19時を過ぎ20時になろうとした時、夜食の時間となる。食堂で椅子に座るスヴェートの前には、清潔なクロスの上に水の入ったグラスが一つ置かれていた。
待っていると、朝と同じメイドがワゴンを押してやってきた。そしてスヴェートの前に、所狭しと料理を並べ始める。籠いっぱいの焼き立てのフカフカな白パン、スパイスソースの香りが湯気から登りたつ分厚いステーキ、酸味の漂う青々とした新鮮なサラダを一気に料理が並べられた。
置かれたカトラリーには、ナイフとフォークが一本ずつ。それからバターナイフがパン籠の横に添えられている。
「注がせていただきます」
赤と白の葡萄酒が、2つのグラスに注がれる。宝石の様な、綺麗な色だ。メイドが説明する。
「失礼致します、スヴェート様。こちらから──」
産地、肉の種類、どこにこだわったなどの話がメイドより説明される。スヴェートが品の良い笑顔を浮かべて聞いている中、最後にこう告げた。
「──ごゆっくり、お召し上がりくださいませ」
蘊蓄説明に、終止符が打たれた。
「いただきます」
スヴェートはフォークを手に取り、サラダを突き刺した。サク、と繊維質な音が鳴り、磨き上げられたフォークの先端で青々とした葉野菜がドレッシングを滴らせている。
スヴェートは小さい口に、サラダを迎え入れた。
「うむ、美味い」
シャキシャキとした生命力ある歯応え。酸味の効いたドレッシングには果汁の様な爽やかさもある。大釜で熱せられたような灼熱の食欲を、ひとまず落ち着かせる爽やかな清涼感がある。それと同時に、肉料理メインへの期待を煽る助走の様な役割。サラダを食んだスヴェートは薄らと上気し、口角が上がった。目を細め、サラダを楽しんでいるのだ。やはりサラダは、こうでなくては。
そして、サラダを楽しんだ後はお待ちかねの肉だ。突き刺したフォークと、切り分けるナイフから伝わる肉の感触が柔らかい。繊維がきめ細かく、熱したナイフでバターを切るが如く抵抗が少なかった。断面からじわりと溢れ出る透明な肉汁がソースと混ざりあい、それはもう蠱惑的な香りがスヴェートの鼻腔を刺激する。自身の口に合うよう小さく切り分けると、肉の断面はまるでルビーのような鮮やかな赤色をして
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