第53話「テレサと、地球の真実」
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代わった為、遺跡とテレサに関する情報は消えていた。上方に展開されている宇宙図は単純化された線と光点として浮かび、その中である一つの区画だけが点滅している。
ガミラス本星が存在する大マゼラン銀河を起点としたもので、到来したエネルギー波を映していた。地球から南の方向―――オリオン腕方面。
それを見ていた古代は告げる。
「この座標は、我々に幻を見せたあのエネルギー波と方向が一致します」
バレル大使は頷く。
「これまで多くの文明が調査団を送り込んだが、未だテレザート星は発見されていない。おそらく、テレサは何らかの方法でテレザート星を封印しているのだろう」
「封印?」
古代の問いかけに、バレル大使はキーマンに視線を送る。
「最近、この宙域でガトランティスの動きが目立っている」
立体映像に、新たな点が現れた。分かりやすく、ガトランティスの紋章もある。
「我々の銀河系への進出は端緒だ。今のところ、ガトランティスとの衝突は発生していないが……元々ガトランティスの勢力圏は小マゼラン銀河だ。ここしばらく、大マゼランに進入しようとしてはガミラス艦隊によって撃退しているが、まさか矛先を天の川銀河に向けて来ているとは我々としても予想外だった」
古代の脳裏に、先日の作戦が過った。ガトランティスによる第八浮遊大陸の占拠は、ガミラスは想定していなかった。ガミラス艦隊の総戦力は一万隻を軽く超えるが、辺境には少なめの艦隊がいるだけ。ガミラスにとって、本拠地である大マゼランを除くと手薄に等しい。
チラリと、バレル大使はキーマンへ視線を送る。その視線に気づいたキーマンは、口を閉じた。その視線には、こう含みがあった。―――引き継ぐ、と。バレル大使は口を開く。
「彼らについての情報は少ない。強大な戦闘国家だが、未だに母星の位置を掴めずにいる。…もし、ガトランティスがテレサの封印を破ったとしたら―――」
「仮にそうだとして、ガトランティスがテレザートを狙う理由は?」
古代は遮り、問うた。いったい何の為に狙うのか、それが分からないからだ。問われたバレル大使は、返答する。
「テレサに選ばれた者は、先に言った通り―――為すべきことを為す。その見返りに、どんな願いでも叶えることが出来る。金持ちは勿論、一国の王にだってなれる」
お伽噺の続き、と言いたげの色を浮かべる古代。バレル大使は苦笑いする。
「その気持ちは分からないでもない。だが、テレサが本当に高次元の存在なら、この宇宙において出来ないことはない」
「こう言い換えることも出来る」
キーマンが言葉を重ねる。点滅する宙域を見つめた後、古代へ顔を向けた。
「封印を解き、テレサの力を手にした者は、あらゆる
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