第51話「テレーゼ・ドルクマス」
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母さん。抱っこしてあげて」
テレーゼは、女性医師から母親と思われる女性に抱き渡された。ふむ、とテレーゼは思う。この女性が、今世の母親か。青髪蒼眼で、モデル並みに美しい容姿をしている。彼女は、優しい顔でこちらを見つめている。それもそうか、我が子を抱いているのだから。逆に、鬼の顔をする母親はいない。
「……」
「?」
あれ、とテレーゼは疑問に思う。何故か母親は困ったような表情になったぞ。あぁそうか、テレーゼは納得する。何も反応しないから、不安になったのか。とりあえず笑っておこう。
「きゃい、きゃい」
母親は慈愛に満ちた笑みを浮かべた。それを見たテレーゼは安心する。よし、どうやらこれが正解のようだ。しかし、これからどうするか。考えてもどうしようもないのは理解出来ているつもりだが、精神は大人であるのだからどうしても考えてしまう。
そういえば、と周りを見ていたテレーゼは思う。どうやら此処は、個室のようだ。母親と生まれたばかりの子供を個室に入れるならば、相当な手間が掛かる筈だ。手間=金、つまりある程度は金銭的に不自由がない環境なのだろう。金があれば良いという訳ではないが、あるならあるほうが良い。
「〜〜♪〜〜〜♪」
ふと、母親から歌声が聞こえるテレーゼ。暖かくて気持ち良い、安心感いっぱいの歌声だ。彼女は眠くなり、うとうとし、やがては眠りに入った。
「おやすみなさい、愛しのテレーゼ」
今世の名前は不思議と、前世の名前と同じだった。
……
…
ふと、テレーゼは思うのだ。この現状、ニューゲームと例えてもよいだろうと。前世を持っている自分は、持っていない子供と比べると歴然の差が存在している。脳がスポンジのように活発な幼少期を勉学に活かせれば、高学歴を手にしてバラ色の人生を送ることも可能だろう。
そこで、テレーゼは決心した。今世は、高学歴を手にしバラ色の人生を送る事を。幸運にも今世の母は教育熱心らしく、赤ん坊の頃から様々な本を読ませてくれた。それを良いことに俺は一生懸命理解しようと頭をフル回転させ、そのあとは泥のようにぐっすりと眠る。
そうしたルーティンを繰り返し続けてると、日はあっという間に経過し、いつの間にか幼稚園に通うような年齢になっていた。
赤ちゃん歩きを卒業し、二足歩行が出来る様になったテレーゼはその年になって気づいた。
このボディのスペック―――性能が素晴らしい。簡単に言うと、本で読んだ内容は忘れないことが殆どで、頭の回転力も優れている。
小学生、中学生、高校生となっても、成績はトップクラス。人間関係も同様で、性格は社交的だ。とはいえ、怠るつもりはない。全ては、高学歴と自身のステータスの為に。
時は経過し、高校を
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