第七百六十四話 悪より嫌なものその二
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「恐ろしいですから」
「餓鬼になることが」
「そうですね」
「誰もが」
セーラはさらに言った。
「なりたくないですね」
「誰がなりたいか」
「果たして」
二人もこう答えた。
「いないですね」
「はい、そうした人には」
「間違っても」
二人はセーラに強い声で答えるばかりだった。
「なりたくないです」
「間違っても」
「殆どの人がそう思い」
そうしてというのだ。
「そうならない様に努めますが」
「それでもですね」
「なってしまう人もいますね」
「餓鬼に」
「私達の宗教ヒンズー教ではピシャーチャですが」
「人は他人は見やすいです」
セーラは述べた。
「容易に」
「己の目で」
ラメダスが応えた。
「出来ますね」
「そうです、ですが」
「自分自身はですね」
「そうです、自分はです」
「見えにくいですね」
「鏡が必要です」
それがというのだ。
「他の人の意見なり客観視する能力が」
「そうしたものが必要で」
「リア王もです」
シェークスピアの悲劇である、主人公リア王が年老いて感情的になり娘達に捨てられていく末娘コーデリアだけが愛していたがそれに気付かず手遅れになってから気付きそして破滅に至る物語である。
「何かと感情的になり」
「意固地になっていましたね」
ベッキーが応えた。
「そうでしたね」
「はい、ですが」
「そのリア王もですね」
「道化を置いていましたね」
「そうでしたね」
「道化は途中でいなくなります」
作中でふとそうなってしまう。
「ですがその存在は大きいです」
「リア王にいつも忠告していますね」
「その忠告をリア王もです」
「聞いていますね」
「はい、自分を客観視して」
そうしてというのだ。
「考え行動する為に」
「道化を置いていましたね」
「確かに強情で意固地になっていましたが」
リア王、彼はというのだ。
「しかしです」
「それでも道化を置いていて」
「自分を客観視していました」
「まだだそれだけの分別があったのですね」
「そうでした、ですが」
「自分を見ることは」
「とてもです」
非常にというのだ。
「難しいです」
「それで行いをあらためず」
「気付きもせず」
「堕ちていきますね」
「気付いても」
例えそうなってもというのだ。
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