第七十七話 世界のサイクルその九
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「尼さんになったけど」
「欲はあったんやな」
「そうしたことはせん様になっても」
「まだあったか」
「何でも入門を色々な宗派に断られたそうで」
所謂門前払いを受け続けたらしい、それだけそれまでの行いを見られてどうにもならないと思われたのだろうか。
「その宗派にどういう訳か入ることが出来て」
「出家しはったか」
「それでもやねん」
「欲は消えんかったか」
「ほぼそうでお肉人前で笑顔で食べて」
尚今の僧籍は出されたものは残さず食べることになっているので肉食もいい、ただしおおっぴらで食べることはやはり憚れる。
「作家さんで賞欲しがったり」
「生臭い人やな」
「欲しくないと言いつつも」
「態度でわかるな」
「そうした人で」
「政のことも言うたか」
「九十過ぎて死刑賛成を言う馬鹿共とか」
綾乃はその人が言った言葉をそのまま出した。
「言うたんや」
「そやったか」
「お世辞にも」
綾乃はどうかという顔で述べた。
「うちはええ印象はないわ」
「そやな、どうもな」
「尼さんには思えへんね」
「これだけ聞いてもな」
「欲を捨てるどころか」
「欲塗れやな」
「かなり長生きしはったけど」
百歳が見えるまでに生きた、今もかなりの長寿であることは事実だ。
「けどね」
「欲に塗れたか」
「そうした人生やったとね」
「思うんやな」
「そう思うわ」
綾乃は眉を曇らせ首を傾げさせつつ言った、そうした話をしているうちに遂に神霊達のいる階に着いたが。
ブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァのヒンズー教三大神からだ。彼等は一行に対してこんなことを言ったのだった。
「これより戦うが」
「我等三柱には順番がある」
「そのサイクルで戦う」
こう言うのだった。
「創造、調和、破壊」
「そのサイクルに従って戦う」
「それでいいな」
「はい」
リーが確かな顔で応えた。
「宜しくお願いします」
「準備はいいな」
「そして心構えも」
「既に整っているな」
「宿屋で泊まりました」
すぐ下の階のそこにというのだ。
「そうしてきました」
「そうか、ならだ」
「すぐに戦えるな」
「そなた達は」
「これから、ではお願いします」
三大神達に心で身構えて言った。
「これより」
「わかった、ではな」
「創造、調和、破壊だ」
「そのサイクルで戦うぞ」
神霊達は一行にまた告げた、そうしてまずはブラフマーとの戦になった。創造の神の力は恐ろしいまでだったが。
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