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金木犀の許嫁
第三十話 夢で会ってその三

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「誰も話しかけないしお顔も向けない」
「完全に嫌われてますね」
「そうしたね」
 まさにというのだ。
「天性のね」
「嫌われ者ですね」
「そうなっていたのよ」
「そこまで嫌われるなら」
 白華はここまで聞いて言った。
「もうです」
「嫌よね」
「かなり」
「学歴の問題じゃなくてね」
「教育を受けるとですね」
「色々なことがわかって」
 そうなってというのだ。
「常識もね」
「身に着けますね」
「ドキュン校でもないとね」
「ありますね、どの都道府県でも」
「もう他に行くところがない様な」
 真昼が言った。
「底辺って言われて」
「まさにドキュンしかいない」
「学校どころかお家でもまともなね」
「教育をですね」
「受けて来なかったんじゃないかって」
 その様にというのだ。
「そんな人もね」
「いますね」
「そうだけれどね」
「それでもまともなですね」
「教育を受けた方がよくて」
「伊藤さんはですね」
「その道を開いたのよ」
 女性も教育を受けられる様にしてというのだ。
「だから夢の中でもね」
「私に言われたんですね」
「そうかもね」
 こう言うのだった。
「伊藤さんは」
「じゃああの伊藤さんは」
「ご本人かもね」
 真昼は笑って答えた。
「若しかして」
「そうですね」
「若しかしたらだけれど」
「私の夢に出てくれましたか」
「噂をすればで」
 それでというのだ。
「それでね」
「出てくれましたか」
「そうかもね」
「それは嬉しいですね」
「兎に角ね」 
 笑顔でだ、真昼は白華に話した。
「フットワークが軽くて気さくで」
「あちこちに出て来る人でしたね」
「そうだったからね」
「夢にも出てきますか」
「白華ちゃんにもね」
「そうですか」
「ええ、それで口説かれもしなかったのね」 
 夢の中で出て来た伊藤博文にもというのだ。
「特に」
「はい、河豚を一緒に食べただけで」
 白華は正直に答えた。
「本当にです」
「それもね」
「伊藤さんらしいですか」
「伊藤さんは女好きでもね」
 このことは当時から有名であり風刺画にもされている、だが本人はそう言われることを怒るどころか笑っていたという。
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