第28話:勇者の計算外その6
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は冷ややかな目で僕とバルセイユ王を見た。
まるで偽物の勇者を見る様な目だ。
あの小さな村からここまで来るのに、どれだけ苦労したと思っているんだ。
何がいけなかった。
何をしくじった。
何で失敗した。
分からない。
原因がまるで思い浮かばない。
そこへアルマン王が口を挟んだ。
「両者冷静に。彼が勇者なのは紛れもない事実、ならばこれまで通り協力するだけだ。まだ魔王は本格的に侵攻を始めていない。恐らく充分な成長を遂げていないからだろう、叩くなら今しかない」
彼の言葉に全員が頷く。
そうだ、結局僕に頼るしかないんだ。
お前らは黙って後方で指を銜えていれば良い。
お望み通り魔王討伐、やり遂げてやるよ。
凶悪大量殺人鬼なんか期待しても無駄だって事を教えてやる。
たかが英雄の称号を貰っただけの奴ら。
対する僕は魔王戦特化の勇者のジョブを有する英雄の中の英雄。
比べるまでもないだろ。
本音を言えば今すぐにでも始末しに行きたいが、今の僕は喉から手が出るほど成果を欲している。
勇者としての活躍が欲しい。
浴びる程の賞賛を受けたい。
あえてここは我慢して、まずは確実に名を高めなければ。
それからでも遅くはない。
見ていろツキツバ・ギンコ。
本気にさせた僕がどれほど恐ろしいか思い知らせてやる。
はは、ははははははっ!
???perspective
私がバゼルフ師匠が勇者セインに誘拐されたと聞き、馬を購入し、急ぎグリジット首都に到着。
そこで待っていたのは薄々予想していた事態だった。
「今は円卓会議の最中なので、勇者セイン殿には直ぐには対面できぬ」
円卓会議と言えば、ヒューマンを主とする各国の代表者達に魔王を討伐する勇者を紹介する場と聞く。
本音を言えば今直ぐにでも始末しに行きたいが、今はバゼルフ師匠を奪還する事が最重要課題だ。
バゼルフ師匠からの借りを返さずに逃げるのは嫌だ!
だが、例の円卓会議でセインが正式に勇者に任命されたら、もう手が出せない。
師匠を助け出す前にグリジットを出るのは癪に障る!
そこで、会場を警備する衛兵達の話を盗み聴く事にした。
「あれが勇者だとよ?」
「かつてはSランク冒険者パーティーだった白ノ牙のリーダーだそうだが、サムライが活動を開始してからは、あまり良い噂を聞かないな」
サムライ?
なんだそれは?
「サムライって確か、デルベンブロやベルディアを討伐したって話らしいぞ?」
「聞いた聞いた!史上初となるパーティーに英雄の称号を授けられた連中らしいんだってな?」
団体が英雄の称号を!?
それじゃあそこに所属する奴ら全員が、英雄?
彼らなら、師匠を誘拐した白ノ牙の連中を倒せずとも、師匠の奪還は叶う筈!
「で、そんな連中が
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