第46話「〈ゆうなぎ〉」
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いだ。
「!?…確かなのか?」
彼は確かめるように聞き、二度目となるその報告を再び聞いた。
「敵艦がワープする直前に、〈サラトガ〉と〈ディファインス〉が地球へ向けワープしています!つまりは―――」
相原が言い終わるのを、待つ必要は無かった。損傷により作戦継続不能となった改村雨型宇宙巡洋艦〈サラトガ〉と同〈ディファインス〉は、司令部へ申請し受理したことで地球圏帰還の為ワープした。偶然とは思えない。あの大戦艦がワープ航跡をトレース―――追跡していたのなら。血の気が引くのを感じた古代はくっと顔を歪め、拳を握りしめた。
「緊急ワープだ!本艦も地球に向かう!」
〈ゆうなぎ〉は〈タイコンデロガ〉の呼びかけに応答することなく、地球圏へとワープしていった。そして〈ゆうなぎ〉は、第八浮遊大陸が存在していた某惑星宙域から地球圏にワープアウトした。
古代の予想は、的を当てていた。
最初に見えたのは、カラクルム級の噴射光だった。カラクルム級のエネルギーシャワー兵器が使用不能であるのは明白だった。二度目が無かったのも、連合艦隊と〈アンドロメダ〉の目を欺く為ではなかったのだ。
カラクルム級の地球圏への侵入は司令部でも確認されており、月軌道の戦闘衛星が迎撃態勢へ移行していた。戦闘衛星は、全長が短く横幅が大きい黒基調の無人砲台だ。上下共に横1列となり無砲身の陽電子衝撃砲がズラリと並ぶ。改金剛型と同じ無砲身の陽電子衝撃砲が、多数搭載されている。
カラクルム級を射程に収めた戦闘衛星は、陽電子衝撃砲を斉射した。放たれた陽電子衝撃砲の半分は命中するが、カラクルム級を沈めることは出来ず、その勢いを削ぐことすら出来ない。カラクルム級はその艦首を戦闘衛星にぶつけ粉砕しても、勢いを止めることはなかった。
「敵ガトランティス大戦艦の落下コースは、首都です!」
「奴ら、落下軌道を調整しているのか!?」
「間違いないよ、南部。首都の地下には司令部があるんだ。目的は司令部、上の首都はついでだろうね。…これが、ガトランティスのやり方か」
首都が置かれている日本には、司令部が存在する。司令部は地下に存在するとはいえ、カラクルム級の特攻で首都を消し飛ばすことなど難しくない。ましてや、軌道を調整しての特攻なら尚更だ。
〈ゆうなぎ〉は今、カラクルム級の直上にいる。機関出力に全て回していた為、砲撃していなかった。だが、それは追いつく為に回していたからで、現在はカラクルム級に追いついている。此処で食い止めてみせる。古代は砲撃を命じた。
そして、だ。
艦橋砲塔、甲板に搭載されている砲塔、艦底部の砲塔、全ての陽電子砲塔をカラクルム級の船腹へ旋回させた直後、陽電子衝撃砲を斉射した。何回も何回も、しかし…
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