第44話「《プランA》発動」
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ープ技術はかつての電気の発明以上の価値を持つ。時空間を繋ぎ合わせ光の壁を超えるこの技術は、種族の繁栄を約束した。
必ず1年以内にコスモリバースシステムを持ち帰る。固い固い決意を胸に抱きながら、宇宙戦艦ヤマトは旅立った。天の川銀河を抜け、大マゼラン銀河のイスカンダル星へ。
行く手に広がるのは、人類未踏の世界だった。航海の途中ガミラスと砲火を交え、数多の苦難を乗り越え、ようやくイスカンダルへと辿り着いた。だが、女王スターシャはコスモリバースを渡すことを渋った。真田の手により開発され波動エネルギーを転用した兵器―――波動砲を装備していたからだ。それが、彼女を不安にさせた。
波動砲は一撃で木星の浮遊大陸を崩壊させるに留まらず、その余波は木星の大赤斑の形をも変えてしまう代物だ。光の壁を超える術を持つ地球人類が、他文明を支配する為の道具として使わないと、誰が断言出来る…。
沖田がスターシャへ非礼を詫びた際、「我々」と言いはしたものも、航海の判断は己に帰するものばかりに思っていた。だから、波動砲を使用した責任は全て私にある発言をしたのだ。
沖田の瞳を、スターシャは凝っと見つめていた。病の床にあるとは思えない力強い瞳を、この男はしている。地球人類の生殺与奪の権は、私が握っていたといっても過言ではない。だからなのだろう。沖田は全ての咎めを自分で背負うという意思を示した。地球人類に罪は無い。ただ、自分の責任なのだと。
スターシャは、沖田から僅かながら視線を逸らす。違う、地球人は罪では無い。罪なのは、…私達イスカンダルなのだ。僅かとはいえ逸らしていた視線を沖田に戻した彼女は、ポツポツと語りだした。
「あなた方が波動砲と呼ぶもの……アレを最初に作ったのは、私達です」
誰もが目を見開く中、スターシャは伏し目がちになりながらも続ける。
「かつてイスカンダルは波動砲でこの大マゼラン銀河を血に染め、帝国を築きました。しかし、満足することなく、一定の銀河系を除いて、数多もの銀河系を血に染めあげた。イスカンダルは、この宇宙の覇権を握っていたも同然だったのです」
頭上から降り注ぐ陽光が、穏やかな波に宝石のような光を与えている。だが、スターシャの表情は、どこか暗かった。
「あの兵器の恐ろしさは、私達が一番よく知っています。だから、地球にもガミラスにも、技術供与はしなかった」
古代はスターシャ訪問の前日、この星の墓地を見た。無数の小さな墓標が丘を超え、何処までも続いていた。墓地に訪れた古代とスターシャ以外、誰1人もいない。ただ、風の音ばかり聞こえる墓地だった。
スターシャが口にした帝国は、遥か昔に失われた。イスカンダルの現在の住人は、王族のみ。女王と言いながらも、最早支配するべき臣民すらいな
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