第43話
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ひびが入り、小さな岩が剥がれ始める。光点の動きに引っ張れるかのように、螺旋の軌道を描いて広がっていく。更に幾つも亀裂が走り、より大きな岩が剥がれる。十字の岩塊シルエットが崩れて始めているのだ。やがて完全に砕け散り、周囲へと飛び散った。
まるで、内側から外へ向けて圧力が解放されたかのようだ。大小様々な岩石が周囲に向かって飛び散ったと同時、岩塊に擬態した人工物―――十字の岩塊シルエットそのままの宇宙船が姿を現した。
これまで遭遇した敵軍のどの戦闘艦より大型なものが、艦首を上に向ける形で岩塊に収まっていたのだ。ガミラス艦と似た艦体色をするその敵艦は、艦首を前方に倒れる。艦艇本来の姿勢に戻ったのだ。
十字のシルエットを特徴づけるのは艦の左右に延びる翼状の突起部で、潜水艦の安定翼のようにも見えた。一対の安定翼らしきものを備えている他、艦底部にはT字の構造物4つが一列に並ぶ。甲板には、聳え立つ独特な艦橋がある。独特なその艦橋は、固定の艦橋砲塔を三層からなる三連装が重なっていた。
武装はそれだけではない。甲板に装備されているガトランティス特有の輪胴砲塔三基を主兵装にし、これまでのガトランティス艦よりも大型のものを装備している他、中小様々な速射輪胴砲塔が船体各所に装備されている。
「機関波動パターンはガトランティス特有のものと一致。あれは、間違いなくガトランティスの戦艦です!」
オペレーターが報告したほぼ同時に、南部は身震いしそうになりながらもその敵艦の威容に洩らす。
「大戦艦…」
口を突いて出た言葉だったが、まさにそうとしか形容のしようがない。大きいだけではない。ブリリアンスのエリス級l級U型以上の全長と砲塔を持ち、ガミラスの改前のゼルグート級に匹敵する全長と火力を持っていることは明白だ。
ガトランティスの大戦艦は、ガトランティスではこう呼ばれている。―――カラクルム級戦闘艦、と。
だが、それでも追撃するガミラス艦隊の足は止まらない。〈ケルベロスT〉を正面に押し立てながら、ガトランティスの大戦艦―――カラクルム級戦闘艦へと向かっていく。それは、恐るべきものは何も無いといわんばかりの進撃だった。
蛮族、と吐き捨てたガミラス第38辺境任務部隊司令官―――ルーゲンスの声が、古代の脳裏に過ぎる。嫌な予感がする。その嫌な予感は、彼が思った通りとなった。赤い光点が、カラクルム級の艦首へ集まり始めていた。
「何を、する気なんだ…?」
赤い光点は異様な動きへと転ずる。艦首前方で3つの輪を描き、猛然と回転し始めた。明らかに、何らかの兵器を用いる前触れだった。
古代は声高に命じた。
「〈ケルベロスT〉を呼び戻せ!」
古代に、相原は応える。
「先ほどから
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