第43話
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「敵艦隊が後退し、浮遊大陸へと引き返していきます」
「後退?」
古代は問い返す。モニターの一つに視線をやると、ガトランティス艦隊は確かに後退している。この報告に違和感を感じた彼は、若いながらも激戦を潜り抜けた身であるからこそ感じた違和感だった。
「このタイミングでの後退は妙だ」
古代はキャプテン・シートから腰を上げ、艦橋の窓へも目を走らせる。反転し後退しているガトランティス艦隊からの砲火は、減少傾向にある。数に劣り被害も大きいガトランティス艦隊であるが、直感的に未だ戦闘士気は高い状態を維持しているよう感じる。何か、勝算でもあるのだろうか…。
「ガミラス艦隊、追撃する模様」
オペレーターの報告を聞いた古代は、追撃するガミラス艦隊に視線を向ける。改ゼルグート級装甲突入型〈ケルベロスT〉を筆頭としたガミラス艦隊は、確かに追撃をしている。その艦隊の内の半分は防御兵装を消失したようで、小破以上の被害を受けていたが、足を止めることなく両舷の開口部を光らせていた。
古代は追撃するガミラス艦隊を指差しつつ、その視線を相原に向けた。
「ガミラス艦隊旗艦との直接回線を開け」
了解、と声高に言った相原はコンソールを操作する。
古代はキャプテン・シートへと腰を戻したと同時に、追撃するガミラス艦隊に再び視線を向けた。砲撃は止み、先程とは打って変わった静けさがこの戦場を包み込む。
後退するガトランティス艦隊を睨みつけている中、古代は思う。ガミラス艦隊旗艦との直接回線が開かない。地球連邦艦隊の一艦長の進言など、第38辺境任務部隊司令官―――ルーゲンスは相手をするつもりがないのだろう。
そう思っていた時だった。電探士が声を上げた。古代は電探士に顔を向けたと同時に、電探士の男は報告した。
「敵ガトランティス艦隊の奥より、巨大な未確認物体!」
「巨大な未確認物体?」
その報告に、古代は食い入るように巨大な未確認物体を凝視する。古代だけではない、誰もがそれを凝視している。
その未確認物体は岩塊で出来た十字のシルエットをする構造物で、全長800mは下らない。その十字のシルエットをする未確認物体は、後退するガトランティス艦隊の中央を逆進―――つまりは連合艦隊へ向けて前進して来ているのだ。
しかも、だ。よく見れば戦闘機にも満たないであろう、赤色に光る小さば光点が複数、その未確認物体の周囲でリングを形成し回転している。
「な、何だあれは…!?」
古代は驚きのあまり、キャプテン・シートから身を乗り出してしまう。無理もないことだ。凝視しているそれは、訳の分からぬ物体なのだからだ。
ガトランティス艦隊よりも前面に位置すると、変化が訪れた。岩塊の表面は突然と
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