第42話「第八浮遊大陸攻防、開始」
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イコンデロガ〉は自分達〈ゆうなぎ〉が、栄誉を優先しているのではないかと疑心に駆られてしまっているだろう。
実際のところは違う。古代達にとって栄誉など欲するところにあらず、欲するのは生還するという目標のみだった。無駄な犠牲を増やさないためにも果敢にも突撃を敢行し、ガトランティス艦隊を混乱に陥れようとしているのだ。
第二護衛駆逐隊〈ゆうなぎ〉は、上下左右に動き回りながら砲撃を加えており、片っ端からガトランティス艦を沈めている。その姿は、まるで戦闘機の機動のようだった。
爆発する敵艦の爆炎と閃光に艦橋内部が照らされる中で、古代はツバ付き軍帽を被り直しつつ次々と指示を飛ばした。
「このまま敵中枢に飛び込む。敵艦を各個撃破しつつだ!」
自席で電探士が縮こまった。
「む、無茶苦茶だ…!?」
果敢であれどあまりも無謀な突撃だ。そんな電探士の彼に苦笑いしつつ、相原義一はフォローを淹れた。
「うちの艦長は、戦闘機乗りでもあったんだ。これくらいはお手の物だよ。それに〈ゆうなぎ〉は波動エンジンに換装しているし、充分に成し得るよ」
人の良さそうな笑みを浮かべて不安を払拭させる相原に対し、南部康雄は火器管制システムを操り戦闘指揮を執っていた。砲術の腕は随一とされるだけに、彼の手腕は衰えることを知らない。
射撃管制用のスコープに映るガトランティス艦に次々と叩き込み、デブリをその一帯に絶賛生産中である。
まぁ、当然というべきか。上下左右しまくっているだけに、古代進を除いて〈ゆうなぎ〉乗組員の顔色は蒼い。
「空母から敵攻撃機デスバデータの発艦を確認!」
前方のナスカ級打撃型航宙母艦から発艦する敵攻撃機デスバデータ。その報告に、古代は迎撃を命じた。
「上部甲板ミサイル、発射!目標、敵攻撃機デスバデータ!」
「了解!」
南部が頷く。
甲板上のミサイル・ハッチが連続して開いた直後、ミサイルを放ち目標に向かっていく。やがて、それは発艦した全ての攻撃機デスバデータに命中し、撃墜した。
「敵の目の前で発艦させるなんて、以前に会った奴らと何ら変わらないな」
南部はガトランティスの手際の悪さに悪態を突いた。かつて遭遇したダガーム大都督が率いるグタバ遠征軍もまた、〈ヤマト〉の目前で艦載機を発艦していたことがあったからだ。
「主砲、発艦させた敵空母に照準合わせ!」
「了解!」
南部は頷き、照準を敵空母―――ナスカ級に合わせる。
「発射準備よし!」
南部からの報告に、古代は命じた。
「撃てぇ!」
〈ゆうなぎ〉の主砲がナスカ級を射界に捉え、陽電子衝撃砲―――ショックカノンを叩き込み、撃沈に追い込んだ。
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