暁 〜小説投稿サイト〜
現実世界は理不尽に満ちている!
第33話「決着と別れ」
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た。リングを持つ惑星シャンブロウは、その一部となって内包されていた。ブリリアンス最大の戦艦エターナルストーム級指揮官型は全長2000mだが、この構造物の前では芥子粒程度の大きさだ。

 方舟シャンブロウは通常では考えられない程に超巨大な骨組みの籠状で、どことなく砂時計に近い。

 調査を行っていた星はシャンブロウの一部であり、その星を含め全てが人工物だったのだ。ジャングルも戦艦大和も、システムの1つとして存在していた。薄鈍色の宇宙は、形成されたボイド空間だったのだ。

 方舟シャンブロウの全貌が明らかになった今、スヴェートを唖然とさせる。方舟シャンブロウは古代アケーリアス文明によって造られたと、ジレルの巫女レーレライは言っていた。

 「古代アケーリアス文明の遺跡であり、ジレルの聖地にして、銀河の巡る星の方舟」

 そして、種の起源を播いた。

 この宇宙に存在する全てのヒューマノイドは、本当に古代アケーリアスによって創られたかは分からない。アケーリアスの遺伝子情報を持つヒューマノイドで、この宇宙は満たされている。シャンブロウのシステムが播かれた種の1つとして同胞と認識し作動したのならば、事実なのだろう。

 「ギルド長閣下、方舟シャンブロウが…」

 艦長代理に声を掛けられたスヴェートは、視線を動かさないまま応える。 

 「消えていくな。あれ程の質量を10秒もしないで遮蔽出来るとは、完全なるステルスというべきか」

 目を合わせた2人女性―――スヴェートと艦長代理は嘆息した。
 惑星数個分にも及ぶ方舟シャンブロウは透明化が完了するや、陽炎のように輝く光輪を背にワープした。星の海へと旅立ったのだ。

 「では、帰還するとしようか」

 「ですね」

 ブリリアンス艦隊はアルポ銀河に戻ろうとする。〈ヤマト〉とガミラス艦隊もお互いの母星へ戻ろうとする、その時だ。

 『さらば、さらば、わが友よ〜。―――』

 艦橋に、スヴェートと艦長代理にとって聞き覚えのある曲が流れる。

 「これは…」

 「〈ヤマト〉からですね。ドイツ民謡の曲の、確か…」

 「「別れ」」

 ドイツ民謡の曲―――『別れ』と呼ばれる曲が流れていた。

 「別れも悪くない。そうだろう、我が娘よ」

 娘と呼ばれた黒髪赤眼の女性―――艦長代理は、呆れたような顔つきをしつつ溜息を吐いた。
 
 「呼ぶにしても名前で呼んでください、ギルド長閣下。……まぁ、そうですね。また会えますよ」

 2人の女性は微笑み合いながら、そう思った。曲を聴きながら、〈スラクル〉は友軍のブリリアンス艦を伴いながら、アルポ銀河へ向けてノズルを噴かす。

 いつの日か、〈ヤマト〉と出会うことを想いながら……。

 「あ
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