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星河の覇皇
第八十七部第一章 シャイターンの復活その四十九

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「わからない」
「今はまだ」
「そのことに注目して検証していますが」
「ティムール軍については」
「動きが落ちているとは」
「思えないですが」
「これまで通りではないか」
 大佐はまた言った。
「やはりな」
「左様ですね」
「どう見てもです」
「おかしなところはなく」
「これまで通りです」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「今も動いているな」
「撤退中です」
「今も尚」
「そうしています」
「何処がおかしいか、確かにティムールでは災害があった」
 首都星系であるサマルカンド星系の主惑星でだ。
「だがそれでもだ」
「シャイターン主席は戦場におられています」
「旗艦シャハラザードは艦隊にあります」
 シャイターンの乗艦であるこの艦はというのだ。
「何処もおかしくありません」
「主席は今もいます」
「ティムール軍に」
「そうであるしな」
 それでというのだ。
「何かおかしいところはあるか」
「そう考えますと」
「やはりないですね」
「そう言うしかないですね」
「我々としても」
「そうだな」 
 大佐はまた言った。
「ティムール軍は」
「ですね、しかし」
「お二方はそう言われていますか」
「ティムール軍の動きが落ちている」
「どうも」
「達人は僅かな差も気付く」
 大佐はここでこうも言った。
「フェシングでもな」
「よく言われますね」
「あらゆることについてです」
「ほんの僅かな違いに気付く」
「そうしたものだと」
「職人もだ」
 この職業にある者もというのだ。
「そうだな」
「はい、そうですね」
「ほんの僅かな違いですが」
「まさにゼロコンマ数ミリの違いに気付く」
「そうだといいますね」
「そしてその違いがだ」
 ゼロコンマ数ミリのそれがというのだ。
「大きいな」
「そう言われていますね」
「そしてそれがですね」
「勝敗を決しますね」
「ものの質も」
「最高級の陶器もだ」
 エウロパのそれもというのだ。
「そうだな」
「ほんの僅かな違いがです」
「その価値を変えます」
「それも非常にです」
「そうしたものです」
「そして軍の動きもだ」
 これもというのだ。
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