シャンブロウ編
第13話「何年の月日が経っただろうか?」
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む紅茶は良いものだ。
「だってそうだろう。アバター設定の際に何度も確かめたんだぞ、プレイする際に最も不要な不老を。それが今ではどうだ?おかげさまで私はいつまでも若く、そして歳をとらないでいる。ふっ、この気持ちが分かるか、スノウ」
「あぁ、分かる。世の女性に喧嘩を売っていることがよく分かった」
「そうなのか?……」
「自覚がないと来た……」
目の前の正対する存在は、ギルド長に呆れていた。
腰まである黒い肩掛けマントを背負い、黒い装甲服と素顔を一切晒さない黒ヘルメットに身を包んだ一人の女性―――スノウ。そのマスクから発せられる合成音声は、呆れのそれであった。
スノウは、足を組み座っていた。
「喧嘩を売っている訳がないだろう」
ギルド長は続ける。真剣な顔つきとなって。
「私は異常だが、スノウは違う。確か、不老だろう?」
スノウは直ぐ返答した。
「私は特別だが、皆がそうではない。地球人と違い基本的には緩やかに歳をとる種族だが、いずれ寿命を迎える」
「そうだったか。今更だが、現世に兄弟とか姉妹は居るのか?勿論、地球人ではないぞ」
「…あぁ、姉妹だ。前世と同じく、私は姉だ。妹も特別で、不老だ。…私は、現世の妹を赤の他人だと思っている。…私の妹は前世の…地球人の妹なのだから」
「ほぅ、まぁ、姉妹喧嘩にだけは巻き込むなよ。私はその宇宙人の妹に会うことは、一生ないだろうが。しかしだ、スノウよ。私より遥かに歳をとっているが外見はうら若き女性、しかし実際の年齢はお婆さんの中のお婆さん。…ふふっ」
「貴様、殴られたいか?」
「ふふっ、怒ることはないだろうに。寧ろ誇っていいと思う、誇れ誇れ」
「動くなよ、殴ってやるから」
「陛下が御乱心だ!?」
「誰が陛下だ」
ギルド長は謝罪した、いっぱい謝罪した。何とかスノウの機嫌を回復したその後、他愛もない会話をしている中、ふとスノウは「そういえば」っと語り出した。
「シャンブロウを探して欲しい」
「シャンブロウ?」
あぁ、とスノウはポツリと語り出す。
ギルド長はスノウが語った内容を纏めた。曰く、シャンブロウは伝説の惑星で、シャンブロウそのものが宝のような存在とのことで、力やら遺跡やら、とにかく凄いそうだ。
場所を聞いてみたところ、大マゼラン銀河と呼ばれる銀河系の外縁部にあるそうだ。大マゼラン銀河、確かリアルでは大マゼラン雲と呼ばれていた、あの大マゼランか。
「シャンブロウを探すのは構わないが、何故私に?」
「暇だろう」
当然だ、ギルド長は即座に頷いたが、「暇」と言われてしまい、繊細な心が軽く傷ついた。暇で悪かったな。
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