暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第214話:黄金に花咲く、アマルガム
[1/6]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 颯人がインフィニティースタイルになっている頃、奏は1人青い燐光を放つキューブで作られた迷宮の中に囚われていた。

「う……く、ここは……一体?」

 見渡しても所々にルーン文字のような物が刻まれたブロックで出来た壁と天井があるだけで、他には何も見当たらない。そう、ついさっきまで傍にいた筈の翼や響達も含めて、だ。自分1人が迷宮の中に取り残されたような感覚に、奏は一瞬不安に駆られたがそれを振り払い逸れた仲間を探すべく迷宮の中を駆けた。

「クソッ! 見た目通りの迷路かよ……それなら!」

 このまま闇雲に走り回っても埒が明かない。そう判断した奏は思い切ってアームドギアで迷宮の壁を破壊する事で強引に攻略する事を考えた。手近な壁に、槍の切っ先を向けて思いっ切り叩き付ける。
 これがコンクリートどころか鋼鉄で出来た壁であろうとも一撃で穿ち道を作れると言う自信のある一撃だったのだが、驚いた事に奏が放った一撃は軽い音を立てて弾かれてしまった。槍が付いた場所には傷一つ付いていない。

「いっ!? つぅ、クソッ! 何て硬さだよ、これじゃあ抜け出す事も出来ねぇ……」





 奏達が迷宮に囚われてしまった事は、当然本部でも観測されている。と言うか、突然颯人以外の反応が消えてしまった事で何らかの異変が起こった事が分かっている程度であった。

「何が起きているッ!」

 急ぎ現場近くのヘリを通じてカメラ映像で何が起きているかをモニターで見れば、そこには青い燐光を放つ巨大な三角錐のピラミッドの姿が見えた。エルフナインもその光景に首を傾げるが、より錬金術に深い造詣を持つアリスはそれが何なのかについて凡その予測を立てる事が出来た。

「あれは恐らく一種の結界に近いものでしょう。ですがこの反応、ただの結界と言うよりは哲学の迷宮とも言うべきでしょうか」
「どういう事?」

 知識と直感でアリスが口にした内容に関して、了子が細かい説明を求める。彼女も聖遺物などに関しては知識を多く有するが、ああいった超常的技術に関しては知らない事や分からない事も多い。

「端的に言えば、空間を何らかの形で切り取っている状態です。あの3人を始点に、天井、床、壁の空間を概念で切り取り組み合わせているのでしょう。仕組みは完全には分かりませんが、恐らくあの中は見た目以上の広さになっている筈」
「つまり、装者の皆さんはあの3人が作り出した広大な迷宮の中に囚われてしまったと言う事ですかッ!」

 概ねアリスの予測通りだった。ヴァネッサ達が作り出したのは『ダイダロスの迷宮』と言う彼女達オリジナルの錬金術。「迷宮には怪物が居る」と言う長く積層してきた認識を元に、「怪物が居る場所こそが迷宮」と言う概念を反転させることで実現した哲学兵装にしてダンジョンエディット機能
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ