暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第214話:黄金に花咲く、アマルガム
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ハンドガードだった部分を思いっ切りオーガに叩き付けようとした。

 その瞬間、オーガの肩から腰に掛けて存在する大きな口が開いた。直後地獄の裂け目の様に先が見えない口の中に空気が吸い込まれる感触に、颯人は咄嗟に攻撃を中断して横に転がる事で距離を取った。

「く、そっ!? また《《食われた》》……!」
「くっくっくっ! 美味ぇ美味ぇ、やっぱり食い甲斐があるぜッ!」

 あの瞬間、オーガが空気を吸い込んだのは攻撃してきた颯人をそのまま飲み込もうとしたからではない。性格には彼の体から漏れ出ている魔力を吸いこんでいたのだ。魔力の全体量にはまだ一応余裕はあるが、このまま続くと幾ら魔力の還元・再利用が出来るインフィニティースタイルでも次第に魔力不足に陥ってしまう。そうなると途端に苦しい状況になってしまう。

 何よりマズいのは、今ヴァネッサ達が展開した迷宮の中で奏がブレイブを使っている事だ。魔力的な繋がりを通じて颯人には奏があの中でブレイブを使っている事が分かる。その状態で、必要以上に魔力を消耗してしまうと奏にも影響が出てしまう。
 故に颯人はこれ以上の魔力の消費を許す訳にはいかなかった。

「くそ、イテェ所を突いてきやがるなコイツ」
「へへっ……それじゃあそろそろお前自身を頂くぜッ!」

 そう言うとオーガはそれまでの戦いで颯人からチマチマと吸い取っていた魔力を一気に収束。バニッシュストライクすら超える威力の魔力球を作り出した。膨大なドラゴンの魔力は、例え微々たるものであっても集まれば十分すぎる程の威力がある。集めた魔力球を、オーガは火球の様に一気に吐き出し颯人へとお見舞いした。

 これが何を意味しているか、分からない程颯人も冷静さを欠いてはいない。これは囮だ。敢えて颯人自身から吸い取った魔力をそのまま攻撃に転用する、言葉にすると有効そうに思えるがインフィニティースタイル相手では逆効果でしかない。まずアダマントストーンの鎧にはこの程度の魔力では傷一つ付けられないし、そもそもが元々は颯人の魔力なのだから結局は彼自身に還元される。精々一瞬視界が塞がれて目眩ましになる程度でしかない。
 だがそれこそがオーガの目的であった。オーガだって今の颯人に生半可な攻撃が通用しない事は分かっている。だからこそ、別の事に彼の意識を向けさせその隙に一気に接近して頭から彼を丸呑みにするつもりなのだ。

――そっちがそのつもりなら、来いよ。返り討ちにして……――

 刹那、迷宮のピラミッドから眩い光が放たれた。見ればピラミッドが罅割れ、そこから光が零れ出ている。

 その光景に危機感を感じた颯人は、迂闊にも一瞬だがオーガから意識を外してしまった。

「奏ッ!? グッ!?」

 迷宮が弾けた瞬間、オーガが放った魔力球が颯人を包み込む。その威力
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