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東方守勢録
第七話
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ようとした覚えがないらしいのよ」
「えっ……それはさっきもそうなの?」
 霊夢の問いかけに俊司は何も言わず頷く。素人から見ればそれだけではおかしい点などわからないはずだが、どうやら霊夢は紫が言いたいことが分かったようだった。
(任意的には発動できないか……ただ使い慣れてないだけか……あるいはもともとそういう仕様なのか……)
「どう霊夢、何か違和感を感じないかしら?」
「そうね、少なくとも任意的に発動できない能力なんて初耳だわ」
 霊夢の言うとおり幻想郷の住人が持つ能力は必ずと言っていいほど自分で扱うことができる能力だ。それが例え扱いきれていなくても、簡単なことはできるしスペルカードにして応用することもできる。
 だが俊司の能力を考えてみればどうだろうか。任意で発動できないとなると、なぜそのような能力が出来てしまうのか不思議で仕方がない。それに能力からしてスペルカードにすることも困難だし、かといって応用できるような事もなかった。
「まあ、革命軍が来た時点で少しこの世界はおかしくなってるんだし、こんな能力ができてもおかしくはないんじゃないかな?」
 確かに霊夢の言うことも一理あった。幻想郷は外の世界と分離しているのに外来人が大量に入り込んでいる。それはこの世界の異変でもあってなにか変になってしまったものもあるかもしれない。となると早く問題を対処しないと厄介な事になりかねないだろう。
「そうね……記者さんはどう思う?」
「へっ!? わっ私ですか?」
 急に声をかけられた文はさっきの霊夢みたいな顔をしていた。
「う〜ん……それが本当だったら、わたしはスクープとしか言いようが……」
「あなたに聞いた私が馬鹿だったわ……」
 ぎこちない笑顔でそう答えた文に、紫は呆れたような顔をしてそう返す。すると文はなにか感に触ったのか、少しむすっとしたまま反論し始めた。
「ちょっと!! それどういう意味ですか! わたしは清く正しい幻想郷の伝統ぶ――」
「まあ、特殊能力ということにしときましょうか」
「そうね」
 霊夢と紫は文の話を聞くことなく結論をだしてしまう。
「……ちょっと〜最後まで言わせてくださいよ〜」
 どうやらさすがのお調子者天狗も少し落ち込んでしまったようだ。その光景をみながら、俊司と妖夢は何も言わず苦笑いをつくっていた。
「ところで、自己紹介がまだだったわよね?わたしは――」
「博麗神社の巫女、博麗霊夢さんですよね。そしてあなたが幻想郷の伝統ブン屋、射命丸文さんですよね」
 俊司は霊夢が自分の名前を言う前に彼女の名前を当ててみせた。初対面の相手に名前を言われ、霊夢は目を丸くして呆気にとられている。
「どっどうして私と文の名前を!?」
「そういえば……私の名前も言ってましたね」
「それは……」
 俊司は自分が彼女達の
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