第8話「恋しいなぁ」
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、フヨフヨと浮かぶ胸が太ももに当たり形を変えた。
「…現実世界に転移したギルド長、か」
はぁ、と溜め息をついた黒髪の女性はもう一度胸を触るが、やはり触ったという感覚があることから、現実である事を認識させられる。
…胸を触って現実であるかの確認って何だ?
そう口に出した彼女ギルド長は、重い溜め息を吐く。
その重い溜め息は、胸を触って現実かどうかの確認はどうか?が含まれているが、それを上回る事が一つ含まれていた。
「まさか、宇宙人が実在するとは…」
宇宙人。
人類が存在するように、宇宙人は存在する。
しかし、宇宙人など存在しないと、人類は信じて疑わない。
誰もが、だ。
だが、ギルド長は違う。
何故なら、宇宙人は実在すると信じて疑わない。
何故、この広大な宇宙に人類のみだと決めつける?
彼女には分からなかった。
「宇宙人は実在する。…ファーストコンタクト時は驚いたものだ」
要塞と共に転移したのも衝撃だったが、宇宙人のほうが遥かに衝撃だった。
なんやかんやあって、〈クロイン〉と呼称した宇宙人と戦い合っている。
その〈クロイン〉はシールド並びに光学兵装を標準装備している戦闘艦を保有。
SF作品でしか登場しない装備を、だ。
いや、光学兵装に関してでいえば、現代に試作の物があるが、それでも試作の中の試作であり、〈クロイン〉の装備には遠く及ばない。
「現代兵器vs〈クロイン〉」
フッと笑みを浮かべるギルド長。
昔から根っからの宇宙人オタクと自負する彼女は、宇宙人に侵略される映画を数多く見てきた。
異星人のオーバーテクノロジーの塊で最初は押されるも、知恵と戦略で人類は勝ってきた。
だがそれは物語上での話であり、実際は都合よく行かないし、どうなるか分からない。
「ふぅ…ん?」
回想の最中、胸に違和感を覚えた。
ツンツンっと弱く突くような、擽ったいような、そんな違和感を。
ギルド長は違和感の正体を見る為に、視線を下に向けた。
彼女は見た。
玩具のアヒルは嘴をツンツンっと突いているところを。
その様子は、まるで構ってちゃんのようであった。
「く、擽ったいな」
一瞬、声が詰まるも、ギルド長はそっと玩具のアヒルを退かした。
「あ、そうだ」
玩具のアヒルを退かしたギルド長は、ヒノキの風呂桶にあるタブレット端末を手に取った。
「…あ」
ギルド長はうっかり、タブレット端末を熱湯へジャボンっと落としてしまう。
あわあわと慌てる彼女だったが、そういえばっと思い出し、スッとタブレット端末を回収する。
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