第6話「彼は観た」
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彼はいつものように、軍事拠点内で無人戦艦を操舵し、監視対象である星系を監視する任務に就いていた。
監視対象であるその星系に価値はない。
だが、その星系を監視しなくてはいけない。価値がない星系を、だ。
何故、監視しなくてはならないのか?
それは、彼が属する組織の上層部がそう決めたからだ。
それなりの地位にある彼にすら開示されず、ただ監視のみと言い渡され、日々監視という仕事のみを無人戦艦を使い従事して来た。
監視がメインなれど、監視対象である星系外縁部に行ったりもする。
しかし、ある日の事だ。
無人戦艦が空間の歪みを感知したのだ。
無人戦艦という艦種は、有人戦艦を無人用に改装した艦である。
しかし完全に無人という訳ではなく、遠距離で操舵するモデルの戦艦。
その中でも、彼が操舵する艦は空間の歪みを探知するという、特別な艦。
その特別な艦が探知した。
直ぐに上層部へ空間の歪みについて報告し、その後は上層部より、【監視対象情報を閲覧可能レベルの地位】と辞令が下る。
その地位に就いた彼は早速とばかり、過去は閲覧出来なかった極秘の情報を目の当たりした。
目の当たりした彼は驚愕し、あぁ〜と、不思議と違和感なく受け入れている自分がいたことに気づく。
思えば先代やそのまた先代も、かの星系を監視していたと聞いたことがあった。
なるほど、上層部が監視対象とするだけのことはある。
何せその監視対象となった星系は過去に【災害】と呼称される存在がおり、その存在は【星系と共にやって来た】という、あまりにも荒唐無稽であり衝撃的過ぎる事が記載されていたのだから。
だが、そんな荒唐無稽な出来事が実際に起きた。
過去に【災害】は己の軍勢を用いて、数え切れない程の文明を破壊した。
そんな【災害】と【災害】の軍勢は彼が属する組織によって全て撃破されたが、その後も幾度となく【未知なる存在】が突如として監視対象と指定された星系に出現した。
幸いにもその未知なる存在達は【災害】では無かったが、それでも【災害に匹敵】ないしは【災害になり得るのでは?】っとその成長に危機感を抱き、監視を行ってきた。
そして本来であれば監視対象である星系に拠点を構築する筈だったが、【災害】が遺したとされる未知の技術により拠点の構築が今もなお出来ないでいた。
その為その反応つまり空間の歪みを感知した際は1隻の無人戦艦を差し向け、脅威の根と認定された場合は艦隊を派遣し掃滅する。
その繰り返しだ。
感知した日、彼は無人戦艦を監視対象である星系へと差し向けた。
彼は観た。
…惑星軌道上に艦艇を遥かに上回る建造物が存在しているのを。
彼は観た。
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