暁 〜小説投稿サイト〜
『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
黒い未亡人は、背中を合わせる
[7/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
甲車へと乗り込む。

「あばよ。二度とこんなとこ来るか。さっさと潰れろバーカ」

と、捨て台詞を残してすぐに発進し、入ってきたところとはまた別の壁に穴を作ってどこかへと去っていった。






夕日が、壁に空いた大穴から差し込んでくる。



「……。」
「……。」

静寂が、辺りを包み込む。

「葵様…。」

肩に置かれる手。
振り返るとそこには、いつものドレスへと戻り、心配そうな面持ちでこちらの様子を伺う香子が。

まぁ、そんなふうに見るのも無理は無い。

「……。」
「滅茶苦茶に…なっちゃいましたね。」

イリヤちゃんの言う通り、図書館は滅茶苦茶だ。

ボロボロの天井、床、使い物にならなくなった家具や本棚。
戦闘の二次被害で、焼けたり破れたりした本は十冊や二十冊程度では済まない。


戦いには勝てた。
けど、何も残らなかった。

「いいよ。また直せばいい。 」

積み上げたものが、何もかも壊されてしまった。
ため息をつこうにも出てこないし、ここまで来ると一周回って涙すら出てこない。


「……かたそっか。」
「はい…そうですね。」

途方に暮れてても仕方がない。
とりあえず瓦礫の撤去から始めないと…。

日は西に傾きつつある。
暗くなる前に終わればいいけど…

「わ、わたしもやります!!」
「わたしも…。」

と、そんなあたしの姿を見てイリヤちゃんと美遊ちゃんも動き出す。

「何かあるよねルビー!こう…すぐに綺麗に掃除できるみたいなのとか!」
「うーん…そういう魔法みたいなのはちょっと…。」
「ラクはできないってことね……。」

と、途方も無い作業を手作業でやらなければならないことを予想し、ため息を着くイリヤちゃん

「まぁ俺とニトちゃんも手伝う。」
「不調の為戦闘では少々遅れを取りましたが、ここはお任せ下さい。下僕を呼びましょう。」

と、ニトクリスが杖で床を突くと、わらわらとミイラやら死霊やらが湧いてくる。

「あとそうだ。この辺りでゴーレム売ってるやつがいるの知ってるか?」
「あぁ、あたしの知り合い。」
「話が早くて助かる。そこから何機かレンタルしよう。」

と、携帯を取り出す賢士だが「あたしが連絡するよ」と言って止めた。

あたしがした方が、いくらかおまけしてくれそうだし。

さて、

まだ無事な本、損傷した本と分けていく香子。
下僕を用い、壁の修理作業に入るニトクリス、
それぞれに的確な指示を出していく賢士。
ならば自分はと台所へ向かい、皆の為におにぎりを作りに行く美遊ちゃん。
と付き添いでついて行くイリヤちゃん。

これから宮本とアヴィケブロンも来る。

「……。
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ