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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
黒い未亡人は、背中を合わせる
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!俺スパイダーマンになっちま…」

騒がしいミッツ。
しかし土蜘蛛はそんなことなど気にせず、


大口を開けると、
がぶり、
と一口で彼を平らげた。

「『衣通郎姫(そとおりひめ)蜘蛛行(くものおこない)』……。」

宝具の詠唱を終え、静まり返った周囲に響くのはグロテスクな咀嚼音。
バリバリ、ゴリゴリと骨を砕く音。
ぐちゃぐちゃと肉を噛む音。

「……。」

土蜘蛛を撫でると、香子は静かに降りる。

「土蜘蛛さんは、まだ満たされていないと仰ってます。」

振り返り、まだ動けていないモレーや満身創痍のサウザンに目を向け、そう言った。

「まだやりますか?あなた方が良ければ、土蜘蛛さんは喜んで喰らうと申しております。」

じっとりとした視線で睨み付け、それからカメラを持つリーダーを睨みつける。

戦えるものは皆潰した。
銃は使えるらしいもののこちらにサーヴァントは計四騎。挑むのは無謀だ。

しかし、

「!!」

ここで土蜘蛛は、べしゃりと吐き出した。

「う、うぅ…おぇぇ…。」

咀嚼され、ぐちゃぐちゃになったミッツ。
身体は再生し始めているものの、今までより明らかに遅い。

ともかく非常にグロテスクだ。

「見ちゃダメ。」

駆け寄り、小学生二人の目を隠すことにする。

「その様子ですと不味い、らしかったですね。」
「へへ…そうだろうな。俺超不味いぜ。こんなこともあろうかと毎日くさやとドリアン、おまけにフグとカツオノエボシおやつで食ってるからな…。」

ふざけたことなど一切無視し、香子は話を始めた。

「この宝具、愛ある者や愛を知る者、そういったモノには特に効果を発揮します。」
「ハハーン…愛を知らない孤独なロンリーウルフな俺には全く通用しねぇってことかァ?」

そんなさっきからふざけたことしか話さないミッツに対し、香子は、


「いいえ、その逆です。」

首を、横に振った。

「あなたには効いている。いえ、効き過ぎている。」
「!?」
「最早叶わぬ恋を、未だ諦め切れぬあなたに、この宝具は良く効いていたのです。」

叶わぬ恋、諦めきれない恋。
香子はなんのことを話しているのか、
しかしその説明は本人ではなく

「そうか、そうだもんな…!!」

賢士の口から話された。

「何?なんかあんの?」
「こいつ…ある意味恋に敗れた負け男だからな。」

そうして賢士が理由を話そうとすると、

「やめろォ!!!!話すんじゃねぇ!!!そんなクソみてぇな話!誰が聞きてぇんだボケコラァ!!!!」

今まで大人しかったミッツが目をカッと見開き、大真面目に叫び出した。

「クリスって、いるだろ?」
「ああうん
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