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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
黒い未亡人は、背中を合わせる
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「しばらくそこで大人しくしていてください。いいですね?」
「この…離せ!!」

モレーはとりあえず戦闘不能にはさせた。
そうして香子は次の標的に視線を向ける。

「俺だってな!幼女に守られっぱなしなのは、癪に障るんだよッ!!」

いつの間にかバットを手にし、宝石をミッツめがけ飛ばす賢士。

やつの眼前まで宝石は迫ると爆発するも、やはりまるで効いていない。

「幼女幼女幼女ォ!!そんな君らに俺は欲情!しかしここは戦場!!友情キャバ嬢情状酌量余地無し実験場!!」
「よくわかんない!!」

美遊ちゃんもイリヤちゃんの加勢に加わり共に戦ってくれている。

ニトクリスだって援護をしているものの、やはり誰の攻撃もまるで効いていない。

いや、効いていないんじゃない。
効いているが、治ってしまう。

「……。」

それを香子は、冷静に見据えている。


「あたしが何してもあいつは完全に倒せなかった。何か、策があったりする?」

それに対し香子は、

「はい。」

と頷いた。


「では…詠み上げます。」

ガラスのペンを地面に突き立てる。
するとそこから放射状に蜘蛛の糸が広がり、図書館の床一面を覆い尽くした。


「やべぇぞこれ…動けない的な…!!」
「キモ過ぎんだろ…。」

それだけじゃない。
その蜘蛛の巣は、敵の足元を絡めとって動くことを阻む。
カメラを構えていただけだったリーダーとその隣にいた黒マスクの男は1歩も動けなくなった。

「瀬戸ォ!車出せ!!」
「もうやってる!!」

リーダーはずっと車の中にいたもう1人のメンバーらしき男にそう叫ぶも、車も例外じゃない。
エンジンのついた車のタイヤに絡まった蜘蛛の糸は、進むことを許さない。

「ぐわぁっ!!なんだこれ!?」

ミッツも、無事拘束に成功した。
しかしあたしやほかの味方は無事に動ける。
どうやらこの糸、味方には作用しないらしい。

「我が夫子が 来べき夕なり 小竹が根の」

香子が詠を詠み上げる
かつて衣通郎姫(そとおりひめ)が詠んだ一首。
それを通して喚び出されたのは…

「えっ!?く、蜘蛛!?」

蜘蛛。それも並の大きさじゃない。
真っ黒で巨大な蜘蛛が現れ、香子は難なくその上に騎乗。

ただの蜘蛛じゃない。
あとから知ったけど、それはあの陰陽師、安倍晴明が封じた土蜘蛛の一種だ。

「蜘蛛の行ひ 今宵著しも」

ひたひたと不気味な足音を立てて動けないミッツに近寄る。

「ぎゃあああああ!?くもぉ!!!!」

何事かと振り向いたイリヤちゃんはその土蜘蛛に対して本気で怯えていた。

「な、なんだァ!?噛むのか!?俺を噛むのか!!やめろよ!
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