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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第一章
五話 少年の心
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むきがちになって話し出した。
「好いてても……憎くなる……って、おかしいと思いますよね」
「え……?」
クラナの呟くような一言に、ノーヴェは一瞬首を傾げた。
「あ、いや……ノーヴェさんは、俺のゆりかご事件の時の話……どの位まで知ってるんでしたっけ?」
不意を付いた問いに、ノーヴェは少し驚いたような、戸惑ったような顔をした。
「大体の事ならな……お前がゆりかごに突入したことや、ヴィヴィオと闘ってた事も知ってる」
ノーヴェがフェイトのお願いに乗ったのも、それが理由の一つであったりする。
彼女は“ゆりかご事件”では「犯人側」のひとりだった人間だ。ゆりかご事件以前は、ヴィヴィオとクラナは本当に仲が良く、今よりも兄妹のようだったと聞いている。だからこそ、放って置けなかった。
クラナはコクリと頷くと思い出すように話す。
「俺がヴィヴィオと初めて会ったのは、彼奴がなのはさんに連れてこられて初めて六課に来たのと殆ど同じとき……俺は隊舎に住んでましたし、エリオやキャロも訓練と仕事だったんで。俺は学校終わってから何時も彼奴の相手をしてました……」
少しずつ、クラナの話すテンポが早く、なめらかになっていく。
「ヴィヴィオがどう思ってたのかは、今はもう分かりません。けど俺自身、彼奴と一緒に居るのは楽しかった。ずっと母さんと二人で生きてきたなかで、何度か、弟妹が欲しいって思ってたせいもあるかな……彼奴がいつの間にか、俺に取っては妹みたいな存在になってました」
しかし同時にその表情は、哀しげな表情を増していく。
「けど……母さんが死んだ時……俺は母さんが彼奴を庇おうとした。って聞いて……彼奴を“母さんが死んだ原因”としか見れなくなったんです」
とても暗い声で話し続けクラナは、今はもう過ぎ去った過去に、深い暗闇を見ているように見えた。
「ゆりかご戦の時だって、俺は彼奴と戦ってる時、初めは変身で誰だかも分からずに戦ってましたけど……途中からはちゃんと、自分の前に居るのがヴィヴィオだって分かってました……でも、それが分かっても、俺の拳は止まってくれなかった。もう、憎しみを向ける相手に、見境が付かなくなって、俺はヴィヴィオを……本気で、殺そうとしてた……」
「………………」
ノーヴェには、何も言葉を発する事も出来なくなっていた。クラナの話はつづく。
「そんな憎しみが、今でも。俺の腹の底でくすぶってるんです」
「どういう……意味だよ……」
聞いたノーヴェに、クラナは自嘲気味に笑った。
「時々、まるで思い出したみたいに、ヴィヴィオが憎くなる時が在るんです……違うかな。ヴィヴィオだけじゃない……なのはさんや、フェイトさんや、あの時の事件に関わった全ての人を、あの頃の俺は
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