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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第一章
五話 少年の心
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な表情で聞いたクラナを、ノーヴェは同じく真剣な表情で見返した。彼女の見るその少年の表情には、強い懇願の色が見て取れる。

「それは、妹にもか?なのはさんやフェイトさんにも……「誰にも。です」……」
喰い気味に返したクラナに、ノーヴェの言葉が止まった。しかし実際此処まで願われてしまっては……

「……わかったよ」
「……ありがとうございます」
そう言って、クラナは深々と頭を下げる。正直、練習以外の場で彼とこうして自然と話すこと事態殆ど初めてなので、ノーヴェは面食らったような顔をしたが、曖昧に「まぁ、頭上げろよ」と言っただけだった。

「それで……質問を戻すか。嫌って、ねえのか?」
「……」
クラナは最後の一瞬、ほんの少しだけ迷ったようだったが、やがて覚悟を決めたように頷いた。

「彼奴は……俺にとって、心の底から大事な妹です」
「…………!」
クラナの一言に、ノーヴェが驚いたように目を見開いた。

「俺に取って、本当に、掛け替えの無い奴なんです。少し、元気過ぎるくらい元気で、明るくて、賢くて、優しい。俺には勿体無い位の、自慢の妹です」
「…………」
もう完全にノーヴェは「開いた口が塞がらない」状態だった。これはまるで……

「彼奴の事を本気で嫌うとか、無理に決まってるじゃ無いですか。俺、彼奴の事大好きですもん」
「…………」
いや、無理に決まっているかどうかなどノーヴェが知るはずがないし、そもそもお前明らかに嫌ってる風だったのだからんな事言えた義理じゃ無いだろうと激しく突っ込みたいのだが。と言うかですもんって……

とにかく、ノーヴェは唐突に理解した。
つまりアルは先程、こう言おうとしたのだ。

「嫌ってない所か……軽くシスコンですよ」と……
まぁ、クラナの“これ”が果たして軽度のシスコンか或いは重度なのかは、読者諸君の判断に任せるとしよう。

さて……

「あはは……すみません一方的に」
言い切ってから気付いたらしいクラナは、軽く頭を掻いて苦笑する。
そんな姿を見て、漸く唖然とした頭が本に戻ったノーヴェは軽く頭を振る。

「成程な……これであん時お前がいきなりキレた謎が溶けた」
「いや、キレた訳じゃ。ただ頭には来ましたけど……」
世間一般的には、そのように強く腹が立つことをキレると言い、そのような状態になることをキレたと言うのである。

「っはは……けどそうするともう一つ聞きたい事がある」
再び腕を組み、ノーヴェは深めに椅子に腰掛ける。

「なら何時もの彼奴への態度は一体何だよ。妹大好きなお前が、何で何時も彼奴を無視する?」
「…………」
クラナは痛いところを付かれたと言うように一瞬黙り込むと、少しうつ
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