第六話
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っていないことになる。
霊夢と文は紫が何を言っているかわからずキョトンとしていた。
「えっ……じゃあ、あの外来人は敵じゃないとでも言うんですか?紫さん」
「ええ。あの子は敵じゃないわ。」
紫は真面目な表情をしたままそう答える。
「じゃあ!なんで妖夢と戦わせて……」
「俊司君の能力だめしよ。身体的にも……特殊能力的にもね」
戦闘が始まって数分後、妖夢と俊司の一騎打ちは徐々に結末を迎えようとしていた。
「攻撃しないんですか!このままでは時間の問題ですよ!」
戦闘が始まってから俊司は一度も妖夢を攻撃しようとはしなかった。本人にとっては別に戦闘する理由もないし、個人的に相手を傷つける意味もない。
「はあ……はあ……生憎……こっちには……攻撃する理由は……ないんでね!」
そう言った俊司はもう息が切れており、足の動きも徐々におぼつかなくなっていた。いくら文武両道の才能を持っていたとしても、戦闘は素人でしかない。戦闘慣れしている妖夢との差は歴然だ。
それに妖夢はまだ力を温存しているようだった。
「そうですか……なら、一気にけりをつけさせてもらいます!」
妖夢は地面を力強く蹴りだし、さっきと比べて断然速い速度を作り出す。
(はやっ!? こっちはもう体力の限界だっての!)
さっきまでのスピードに体を合わせるのがやっとだった俊司は、顔に焦りの色を浮かべていた。足の速度も目にとらえられるものではない。それでもなんとか攻撃を避けようと足を無理やり動かす。
しかし少年の足はすでに限界を超えていたようだった。
(ぐっ……足が……)
一歩分足を動かした瞬間、彼の足から力が抜けだしバランスを崩し始める。そのせいで上半身はガラ空きとなり完全な隙が出来てしまう。それを剣の達人が逃す訳がなかった。
「そこっ」
「やばっ……」
妖夢の攻撃は俊司の腹部に向けて一直線に繰り出される。バランスを崩しているのでよけることもできないし、かといって攻撃を防御する手段もない。無残にも刀の軌道を目で見ることしかできなかった。
その様子を静かに見ていた紫は、静かに溜息をついていた。
「潮時ね……そこまで!」
紫の声が急に響き渡ると同時に、妖夢の攻撃はピタリと止まった。
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