第六話
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ように流れ始めていた。
「祈りは済みましたか?」
「済んでない!」
武器を持っているにも関わらず反撃しようとしない少年に呆れたのか、妖夢は残念そうに溜息をはいた。
「じゃあそのままでいいでしょう……では……はああ!」
妖夢は刀を一気に振り彼の首元を切り裂こうとする。恐怖に心を奪われていた少年は、何も動かすことができず首元に入ってくる刀を見ることしかできなかった。
しかし刃が首元まで数センチまで差しかかった瞬間、動いていた歯車は瞬く間に止まってしまった。
「えっ……あ……また……」
俊司は流れるように進んでいた刀がピタリと止まった瞬間思わずそう呟いていた。周囲を見渡してみると、あの時のように誰一人動こうとはしない。そして当然のように浮かび上がった光る物体。どうやら条件がそろって俊司の能力が発動したみたいだ。
(なんかいやな予感しかしないなぁ……紫は何を考えてるんだ?)
そう思いながらも渋々その場所に立つ俊司。それもそのはず、このまままた時間が動き出しても、目の前の女の子との勝負は避けられないからだ。一応武道に関しても外の世界で軽くやってはいたが、相手は剣の達人だ。ほぼ素人状態の俊司が敵う相手ではない。
それでも時間は無情にも動き始めるのだった。
「なっ……!?」
相手の動きを気迫で抑え確実に喉もとへ送り込んでいた刀は、無残にも大きく空を切っていた。相手がよける様子も見せていなかったにも関わらず、少年の姿はあとかたもなくその場から消え去っていたのだ。能力を使われたのか、はたまた急激に加速して攻撃をよけただけなのかはわからない。いろいろと考える妖夢だったが、答えがでるのはその数秒後だった。
「……なんの手品ですか?」
妖夢は微かに感じ取っていた背後からの気配にそう問いかける。そのままゆっくりと振り返ると、めんどくさそうな顔をした俊司がこっちを見ながら立っていた。
「なんでこの現象を目の当たりにした人って、マジックとか手品とか言うんだろうか……」
「変なことを言わないでください。次は外しません……」
妖夢は刀を構え直し俊司を威嚇するが、目の前の少年は依然と呆れた表情をしたまま動こうとはしない。それどころか辺りをきょろきょろしながら何かをうかがっているようだった。
(……やっぱりか)
俊司は辺りの様子を伺いながら紫の反応を見ていたが、彼女はニコニコしたままこっちを見ていた。おそらく紫は俊司が能力なしでどれだけ戦闘を行えるかが見たいのだろう。だとしたら妖夢に切れと命令したのは、能力の発動条件を確認したかった可能性が高い。どちらにしろ俊司にとっては迷惑な話なのだが。
俊司は大きく深呼吸して腹をくくった後妖夢を獅子のような目で睨みつける。気迫の変わりようにびっくりしたのか、妖夢は少し体を震わせ目を丸
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