第七百六十三話 餓鬼の姿その四
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「そうです、地獄に堕ちる人も」
「少ないのね」
「やはりごく稀でして」
「餓鬼になるって相当なことなのね」
「恐ろしく駄目な人でなければ」
さもないと、というのだ。
「なりません」
「余程汚い人ね」
「尚この人は潔癖症でした」
「自分の身体だけはそうなのね」
「ですが」
それでもというのだった。
「心はです」
「とことん汚れていたのね」
「そうでした」
「心の汚れには気付かなかったのね」
「ただひたすら尊大だったので」
その為にというのだ。
「自分ことはです」
「気付かなかったのね」
「お説教好きでしたし」
「ああ、人の批判は好きだったわね」
「自分はそうしているつもりで」
批判が高尚なものだと思ってだ、間違いに気付いてそれを言える自分は凄いと解釈してのことである。
「実はです」
「只の言いがかりね」
「あら捜しの」
「下らないものね」
「その下らないことをして」
そうしてというのだ。
「他の人にです」
「お説教垂れてたのね」
「偉そうに。ですが」
「何でもなかったのね」
「お説教好きな人に大した人はいません」
セーラは断言した。
「決して」
「その人もそうで」
「この人はその中でも特に酷いですが」
「今もなのね」
「他の餓鬼にお説教を垂れています」
「餓鬼になっても性根は変わらなかったわね」
「そうですので」
それ故にというのだ。
「今もです」
「偉そうにです」
「お説教垂れているのね」
「何故お説教好きな人に大した人はいないか」
セーラはその理由も話した。
「人の悪い部分ばかり見ようとしてあら捜しをして」
「必死になってるのね」
「そしてそれで自分は偉いと思い」
そうなってというのだ。
「自分のことは見ない、努力しないので」
「大したことはないのね」
「こうした人は成長しないで」
「むしろどんどん悪くなるわね」
「当然嫌われます」
人からというのだ。
「そんな人が好かれるか」
「そんな筈ないわね」
「そして本当に嫌われている人は」
セーラはさらに話した。
「面と向かって言われません」
「口も利きたくないってことね」
「そして顔も見たくないと」
「完全に嫌われるのね」
「そうなるので」
だからだというのだ。
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