第七百六十三話 餓鬼の姿その一
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餓鬼の姿
セーラが出した写真には文字通りの餓鬼があった、腹は異様に膨れ喉も手足も極端に薄く肌はドス黒く髪の毛は細くまばだらだ。
見れば眼鏡をかけている、全裸のその姿を見てテンボは言った。
「これがその人か」
「はい」
セーラはまさにと答えた。
「そうなのです」
「酷いな」
思わずこの言葉を出した。
「これが餓鬼か」
「聞いてる通りの姿だけれど」
ジャッキーも言ってきた、二人共苦い顔になっている。
「なりたくないわね」
「酷い人相だからな」
「ええ、何この人相」
二人は餓鬼のそれを見て話していた。
「かなり卑しそうな」
「そんなものね」
「これが餓鬼か」
「嫌なものね」
「碌な暮らししていないことがわかるな」
「浅ましい生き方してるのね」
「それが餓鬼でして」
そうであってというのだ。
「この人は人間でいる時にです」
「餓鬼になってか」
「その時から浅ましくて」
「本物の餓鬼になってもか」
「浅ましいのね」
「そうです、前世の記憶はありますが」
人間の世界にいた時もというのだ。
「そうでしたが」
「それでもか」
「反省していないのね」
「自分は悪くなく」
そう考えていてというのだ。
「悪いのはです」
「周りだな」
「他人で世界ね」
「そう考えているな」
「そうなのね」
「そうです、そして身体は人間だった頃はです)
セーラはその頃のことをさらに話した。
「他の人のお家に上がり込んで」
「図々しくだな」
「大飯食べていたのよね」
「それが今ではです」
本物の餓鬼になってというのだ、ダン達も写真を観ているがその喉は本当に針の様に細いものである。
「碌に食べられないので」
「それでか」
「餓えているのね」
「そうです、遠慮せず」
人に家に上がり込んでというのだ。
「散々です」
「人の家のご飯をたらふく食べ続けたんだな」
「それもただで」
「それでそんな人生を送ってか」
「今は碌に食べられないのね」
「そうなっていますが」
それでもというのだ。
「反省していません」
「そしてか」
ダンは言った。
「今はいつも餓えているか」
「渇いてもいます」
「そうなんだな」
「天理教のお世話になっていた時も」
「教会とかでか」
「食べさせてもらっていて」
「只でだな」
「ほぼ。それどころか住むところもです」
そちらもというのだ。
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