暁 〜小説投稿サイト〜
現実世界は理不尽に満ちている!
第1話「どういう状況だ、これは…!?」
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聞こえているのだから、聴覚も同様か。
 私が来ている軍服も着心地をよく感じる。

 …本当に夢なのか?

 「ア〜、ギルド長?」

 い、いや夢に決まっている!
 
 現在も機器を操作し、キビキビと働くB1バトルドロイドを纏めるOOMコマンド・バトルドロイドが、同じく声に出し報告して来たのも夢に決まっt……は?

 「ギルド長?」

 再び同じ台詞を繰り返すOOMコマンド・バトルドロイド。
 呆気に取られてどこかに飛んでいた思考が、ゆっくりと戻ってくるのを感じた。
 ヤバい、完全に錯乱状態と化してしまった。

 「…どうした?」

 声音が震えていないだろうか?
 表情は怯えていないだろうか?
 ワクワクして興奮状態となっていないだろうか?……我ながらおかしい、この状況でワクワクってなんだよ。

 とにかく、だ。
 そういったマイナスな事ばかり考えてしまったが、何とか言葉を出せた。

 「ソレガ、敵対ギルドへ派遣シタ艦隊ト超兵器ノ応答ガアリマセン」

 「応答がないだと? 此方から応答はしたのか?」

 「ア〜、此方カラハ特ニ」

 「では直ぐに行え、分かったな?」

 「ラジャラジャ。ア、ソレト、緊急ノ要件ガアリマスガ」

 「その緊急の要件に関しては少し待て。今は少し、考え事をしたいのだ」

 「ラジャラジャ」

 命令を確認したコマンダー・バトルドロイドは上下に首を振り、部下のところへと向かう。

 …会話をしている。
 その事実に気がついた瞬間、体が硬直した。

 ありえない。
 いや、そんな生易しいものではない。これは決して起こりえないことだ。

 会話が出来るなんて、それどころか会話が成り立っている?
 自発的に発言もしている?

 「は、はは…」

 乾いた笑みが止まらない。
 
 本当に現実世界なのか?
 それとも、”WOS世界であってWOS世界”なのか?

 確か、某小説で「異世界に転移する」や「ゲームの力を持って現実世界に転移」というものがあった。
 となると、今の状況に当てはまるのは後者の「ゲームの力を持って現実世界に転移」か。

 非現実的過ぎるが、実際にこのような非現実的な出来事に私はいるのだ。
 何がどうあれ、五感があるのだ、夢ではないのは確実だろう。

 「はぁ、気が重い」
 
 運営と連絡が取れないどころか、親友も同然のフレンドすら連絡が取れないこの状況。
 完全に孤立していると見てよいだろう。

 「さて…」

 何が起こっているか、ちっとも分からんが、直ぐさま状況把握に務める必要があるようだ。

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