第二十九話 質素な充実その三
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「偏見はね」
「気にしたら駄目ですね」
「東京の子に宵越しの銭は持たないっていう」
「うちの学園東京からの子もいるし」
「例えば幸田君ね」
「自転車部の部長さんよね」
「彼にそう聞いたらね」
その彼にというのだ。
「違うってね」
「言われたのね」
「江戸っ子もちゃんと貯金するってね」
「言われたのね」
「やっぱり無駄遣いは駄目3だってね」
その様にというのだ。
「なってるそうよ」
「東京でも」
「その言葉もね」
江戸っ子は宵越しの銭は持たないという言葉もというのだ、この言葉もまた日本ではよく言われている言葉だ。
「悪く言えばめ」
「無駄遣いするってなるわね」
「けれどね」
「それは違うわね」
「実際はね」
そうだというのだ。
「そんなことはね」
「ないわね」
「ないわ」
実際にというのだ。
「全くね」
「そうよね」
「やっぱり東京でもね」
「いざという時があって」
「貯金するわね」
「多くの人が」
「本当に貯金がありませんと」
白華も確かにと述べた。
「いざという時困りますね」
「そうでしょ、ただ薩摩の頃は」
真昼は自分達の話に頷いた白華にあらためてこの頃のことを話した。自分達ではないが先祖のことをだ。
「その貯金もね」
「出来なかったですか」
「そうみたいよ」
「食べるとですか」
「それでもうね」
それこそというのだ。
「なくなって」
「貯金をする余裕もなかったですか」
「元々貧しいのに」
差薩摩藩はというのだ。
「お侍さんが多くて」
「尚更ですね」
「藩の俸禄がね」
「貧乏で人が多いと」
「それだけ減るから」
「人件費ですね」
「今で言うとそれがね」
俸禄がというのだ。
「割合が多くて」
「薩摩でのご先祖様達はですね」
「貧しくて」
そうであってというのだ。
「本当にね」
「貯金も出来なかったんですね」
「西郷さんだってね」
西郷隆盛のことも話した。
「お豆腐知らなかったし」
「お豆腐をですか」
「お豆腐屋さんでおからばかり買ってて」
無料か無料同然であったのは当時からだったのだ。
「お豆腐を知らなかったのよ」
「お豆腐買えない位貧乏だったんですね」
「当時は庶民が普通に食べていたけれど」
農民や町人達がだ。
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