第二十九話 質素な充実その二
[8]前話 [2]次話
「もうお二人以上にね」
「貧乏で」
「凄い生活送っていたのよ」
「そうでしたね」
「それでご先祖様達もね」
「大坂の陣から薩摩に逃れて」
「代々続いていたけれど」
生き延びてというのだ。
「それでもね」
「貧乏でしたね」
「本当に実際の石高低いのに」
薩摩藩はというのだ。
「お侍が多過ぎて」
「貧しかったですね」
「そもそも暫く浪人だったわね」
夜空はここでこのことを思い出した。
「関ヶ原の後で」
「あっ、高野山に入って」
「それで十数年ね」
大坂の陣がはじまるまでのことだ。
「浪人してたし」
「その時にですか」
「質素な生活がね」
これがというのだ。
「かなりね」
「身に着いていましたか」
「そうかもね」
こう言うのだった。
「やっぱり」
「そうですか」
「元々豊かじゃないしね、真田家って」
「小さなお家で」
「どう考えても贅沢はね」
これはというのだ。
「無縁よ」
「そうしたお家ですね」
「だから今の私達もね」
「贅沢じゃないですね」
「もう今でね」
今の状況でというのだ。
「贅沢よ」
「そう言っていいですね」
「本当にね、ただね」
「ただ?」
「大阪はね」
この街はというとだ、今自分達が暮らしている。
「贅沢じゃなくてもむしろね」
「ケチですね」
「何かそうだっていう雰囲気がね」
それがというのだ。
「結構ね」
「ありますね」
「どうしてもね」
このことはというのだ。
「大阪に付きものね」
「そうですね」
「これはお金の使い方を知っていて」
「無駄遣いしないことですね」
「そういうことだってね」
その様にというのだ。
「考えればね」
「いいですね」
「そうでしょ」
こう言うのだった。
「ケチはまた違うわよ」
「無駄遣いしないことと」
「大阪の無駄遣いしないこととね」
「大阪はね」
真昼も言って来た。
「ケチって言われてるけれど」
「実は違うわね」
「お金の使い方を知ってるのよ」
こう言うのだった。
「そうなのよ」
「そうよね」
「そんなね」
それこそというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ