第14話:まともな名君が足りない……
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ンニキス港国の様な糞国に未練が有る訳じゃないって事ね」
それを聴いて、豊臣秀吉は腹を立ててしまった。
思い起こしてみれば……豊臣秀吉は戦ってばかりの人生だった。
今川に拾われるまでただの農民だった私が、今川や織田を渡り歩きながら様々な戦場に赴き、領地を得てからは、その領地を護り広げる為に様々な大名と戦い。出世する為に朝廷に媚を売り、欲深い部下共を黙らせる為に大陸に攻め込んだ。
そして……ムソーウ王国の王女として再び生を受けてもなお領地争奪戦の様な人生は続いた……
それをこいつは……こいつは……
気付いた時には、豊臣秀吉はこの腹ただしい男の顔を蹴っていた。
「何が糞国だ!?己の事のみを考え、利だけは敏感で、犠牲を嫌い、国を守る事にすら興味を持たぬ。お前……」
冷静になった途端、豊臣秀吉は「しまった!」と思った。
そうだった!
かつてのムソーウ王国の部将以上の将校は、まるで作り話に出てくる一騎当千の様に強過ぎたんだった!
だから、ムソーウ王国王女、オラウ・タ・ムソーウである豊臣秀吉も、ムソーウ王国の部将になる為にムソーウ王国が求める強さに達する必要が有る訳で……
大丈夫かアイツ!?
なんか……壁にめり込んでいる様に見えるんですけど……
「すまんすまん。つい怒って冷静さを失っておった」
だが、豊臣秀吉に蹴られて壁にめり込んだ男は……笑っていた。
「なんだ……ちゃんと自分の意思を持ってるじゃないの?」
「……何?」
「それに引き換え、カイジンニキス港国の元老院共ときたら……お前の言う、『己の事のみを考え、利だけは敏感で、犠牲を嫌い、国を守る事にすら興味を持たぬ』だらけだよ」
「やはり豊臣秀吉を試したな?」
「奴らは、あの小島の様な船に対して何もしておらん。お前達ムソーウ王国に助けを求めておきながら、それが叶わむと視るや、手の平を返す様にあの船に媚を売る術を探っておる」
悔しいが、返す言葉はこれしかなかった。
「だが、私達ムソーウ王国はカイジンニキス港国の救助要請に応える事が出来なかった。そんな薄情な国を同盟国扱いするのは、流石にお人好しが過ぎるだろ?」
「で、そのお人好しなムソーウ王国があの船に敗けてる間、奴らは何をしていた?俺達やあの船がこの糞国で好き勝手やってる時、奴らは何をしていたと思う?」
……この男は、豊臣秀吉の返答に何も期待していない。
だがら、豊臣秀吉は黙った。
「何もしておらん!ただの様子見じゃ。自分の意志で選択した訳じゃない。戦う訳でも媚を売る訳でもない。『民草に偉そうに命令する』すらしない。ただの風見鶏じゃ。こんな腐った連中に上に立つ資格が有ると思う
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