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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第九十四話 下準備 T
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も実行するとなると、帝国政府主体ではなく帝国軍にやらせるのではないだろうか。
「帝国にも面子がありますからね、互いの政府同士ではまとまる物もまとまらないのではないでしょうか。あちら側は門閥貴族が黙ってはいないでしょう。叛乱軍に膝を屈した、と大騒ぎするかもしれません」
「…もしかして君はそれを狙っていたのか?」
「いや、ただの思いつきですよ。思いつきの副次効果としては否定しませんけどね。人口の少ない同盟が帝国に勝つには、政治的にも戦闘においても主導権を握り続けなければなりません。帝国を引っ掻き回すしかないんです。帝国内部が一つにならない様な手を打って」
「帝国辺境に対する援助もそうだな」
「はい。その通りです」
「ところで、同盟へ亡命希望の捕虜達はどうするのだ?」
「本人達の希望にもよりますが、軍属または軍人として迎えいれたいと思います。何年か兵役を務め軍で得た技能を社会で活かす事が出来れば、同盟での生活に困る事はないでしょう」
「職業訓練の様な物か。向こうでも軍人だったのだから、似た環境に居た方が慣れるのは早いかもしれんな」
「もう一つ目的があります。亡命した者達の覚悟を問う事です」
そう、帝国を捨て同盟市民になるという事は極端な話、市民になったその日から帝国と戦う、という事なのだ。その覚悟を問わねばならない。
「そうだな、大事な事だ。祖国を敵とするのだからな。だが当面は後方勤務に就けた方がいいだろう」
「そうですね。ですがそれはおいおい決めましょう。彼等の受け入れも重要ですが、帰還兵の処遇も決めねばなりません」
「そうだな」

 空になったカップに二杯目のコーヒーを注いだ。俺の分だけではなく、本部長の分も用意する。本部長はデスクから応接ソファに移動すると、深々と腰をおろした。
「帰還兵か…帝国での捕虜生活はどうなのだろうな。想像もつかん」
「はい。帝国では我々は犯罪者、反逆者扱いです。そもそも帝国と同盟の間には捕虜の処遇に関する取り決めがありません。無事である事を祈るばかりです」
同盟軍は女性兵士も前線勤務に就く。当然捕虜の中には女性兵士も存在する。捕虜といっても処遇が定まっていないのだ、女性に限った事ではないが死んだ方がマシ、という扱いをされる事もあるだろう。
「中には軍を恨む者も居るかもしれませんね。上層部がしっかりしていれば、捕虜になる事はなかった、と」
「だろうな。一概に軍に復帰させる、という訳にはいかないかもしれない」
原作での捕虜交換の際もこういった事があったのかもしれない。だからアーサー・リンチは工作員として利用された…。
「帝国軍は帰還兵の中に工作員を紛れ込ませるかもしれません」
「工作員?破壊工作か?」
「目的は破壊工作とは限りません。情報収集、欺瞞工作…様々な目的が考えられます」
原作で
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