激闘編
第九十四話 下準備 T
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に出ているんだ。収容所の中も捕虜の自治に任せている所がほとんどの様だ。敵性軍人だからといって罰せられる事もない。帝国の様に階級社会という訳でもない。同盟も悪くない、と思ってくれたんじゃないかな」
「はあ…」
「住めば都、という言葉もあるしね」
「では、分からないと答えた人々はどうなのでしょう」
「そこは本人達にしか分からないさ。分からないと答えた捕虜達には再度希望調査をする事になっている。いずれ結果は出るよ」
「そうですね……ですが何故本部長は閣下にこのデータを?閣下が捕虜交換を提案なさったからですか?」
「それもあるけどね…面倒な事は私が処理する事になっているらしい。シトレ前本部長からの申し送り事項なんだと」
既にフェザーンを通じて帝国には打診済みだから、実現するしないに関わらず早急に準備を整える必要がある…事務処理と捕虜の移動に一ヶ月、帰還兵の収容と移動に一ヶ月……。
「少佐、本部長にアポを取ってくれ」
返事と共にミリアムちゃんが本部長に電話を入れる…各艦隊の面倒はビュコック長官に見て貰うしかないな、長官だってこんな面倒臭い事やるよりそっちの方がいいだろう…。
「一五〇〇時以降でしたら時間が取れるそうです」
「ありがとう、了解した」
グリーンヒル本部長の執務室に行くと、既にコーヒーが用意されていた。
「アンケート結果は見たかね?」
「はい。それについてですが、そろそろ事務局を立ち上げませんと。私が事務局長をやります」
「君が事務局長をやるというのか?まあそれは構わないが、いいのかね?」
「各艦隊の方はビュコック長官にお任せします。面倒臭さではこっちの方が上でしょうから」
「そうだな。ビュコック長官もそちらの方がやりやすいだろう」
「はい…ところで質問なのですが、捕虜交換についてフェザーンは何も言っていないのでしょうか」
「フェザーンが?何か気になる事でもあるのかね?」
捕虜交換の打診はフェザーンを通じて行われた。外交のチャンネルがそこだけだから仕方ないのだけど、こういうチャンスを陰謀好きのルビンスキーが見逃す筈は無いと思うんだよな…。
「いえ…ただ、フェザーンが絡むとロクな事がありませんからね。トリューニヒト委員長から何かお聞きではありませんか?」
「フェザーン絡みの話は特に聞いていないな。ただ、捕虜交換の全権代表を誰にするかで揉めている様だ」
本部長によると、サンフォード最高評議会議長とトリューニヒト国防委員長とで揉めているという。政府主体で行うのか、軍主体で行うのか…という事らしい。
「成功させれば政治家としての株は上がるからな」
「確かにそうですが、相手…帝国がなんと言うか」
「君はどう思うかね」
帝国は同盟を対等の存在として認めてはいない。フェザーンを通じて捕虜交換の話が来た…話は聞いて
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