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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第九十四話 下準備 T
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可能性があると思っているのだ?」
「あくまでも可能性の話ですから…問題提起しておいて何ですが、叛乱軍が此方に工作員を送り込むメリットは余り無い様に感じています」
「それは何故だ?」
「帝国は叛乱軍が自ら標榜するような自由と平等の国家ではありません。潜入した工作員が諜報活動を行うとすれば、ある程度此方の権力中枢に食い込めるだけの地位が必要になりますが、その点での身分擬装が難しいと思うのです。協力者も居らずコネも無いのでは権力中枢に食い込むのは難しいでしょう」
「そうだな…であれば、むしろリヒテンラーデ侯も仰った様に此方から送り込む事を考えた方がいいかもしれんな」
「はい。叛乱軍を構成しているのは皆平民です。平民であっても高級士官、将官という地位にあってもおかしくはない。権力中枢に近付く事も可能です」
「…捕虜交換が実現するかどうかは分からんが、捕虜の中から人選を進めよう。任せてもよいか」
「了解致しました」



宇宙暦796年2月26日14:00
バーラト星系、ハイネセン、自由惑星同盟、自由惑星同盟軍、ハイネセンポリス郊外、統合作戦本部ビル、宇宙艦隊副司令長官公室、
ヤマト・ウィンチェスター

 “帝国側の反応は悪く無い様だ。あちらさんも兵力の補充には難儀している様だね。あと例のアンケート結果が後方勤務本部から上がって来た。そちらにデータを送るから、目を通しておいてくれ”

「ありがとうございます」

グリーンヒル本部長からの電話が終わると同時に、ミリアムちゃんが質問してきた。
「例のアンケートというのは、我々に囚われている帝国軍捕虜の件でしょうか?」
「うん、そうだね。さて、どんな結果になったものやら」
PCのメールフォルダを開くと、確かに本部長からのメールが届いていた。添付データを開く……捕虜の総数、百九十七万五千二百人……帰国を望む者、百六十七万八百四十六人……同盟への亡命を望む者、二十五万二千六百五人……残り五万千七百四十九人…残りの約五万人は分からないと答えたのか…紙に出力した添付データをミリアムちゃんも見ている。
「ローザス少佐、どう思う、これを」
「およそ二十五万人もの帝国軍人が亡命を望んでいるというのは意外です。分からないと答えた者達が五万人も存在するのも意外でしたが」
「うん。帰国希望の者達は、帰国後の展望がある人達だろうね。家族が待っているとか、貴族階級なら家を継ぐとかね」
「では、亡命希望者は帰国後の人生設計において悲観的な人々…という事でしょうか」
「そういう人も居るだろう。帰国しても係累が居ないとかね。でも今まで戦ってきた敵国に亡命するというのは余程の事だよ。幸運な事に同盟の捕虜収容所の待遇はいいとは言えないが、悪くはない。中の下、と言った所だろう。それに、捕虜は収容所の外に働き
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