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八条学園騒動記
第七百六十二話 餓鬼とはその九

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「それでね」
「浅ましくて卑しくてな」
「そんな人ってことね」
「それで餓鬼になっているな」
「それだと地獄よりもね」
 そうした輩がいる餓鬼道はというのだ。
「酷い世界ね」
「そんな奴が餓鬼になっている世界だからな」
「それじゃあね」
「つくづく餓鬼にはなりたくないな」 
 ダンは心から思った。
「そこまで考えるとな」
「そうよね」
「餓鬼になれば」
 そうなればというのだ。
「苦しんでな」
「こうも思われるのね」
「そして反面教師になるな」
「反面教師を見て自分を正すのはよくても」
 それでもというのだ。
「けれどね」
「自分がなるのはな」
「なりたくないわね」
「絶対にな、反面教師はああはなるまいと思ってな」
「見るものでね」
「そうであってな」
 それでというのだ。
「なるものじゃない」
「絶対にね」
「なるのはお手本だ」
「そうしてる人ね」
「というか今話している人はお手本の人いたのか」
「鑑になる人が」
「果たしてな」
「いませんでした」 
 セーラがここでまた答えた。
「だから自分がこの世で最も偉いと勘違いしていました」
「自分だけしかなくてか」
「頭の中に。他のどんな人もです」
「自分より下か」
「そう思っていまして」
 そうであってというのだ。
「お手本にする人なぞです」
「いなかったか」
「一人も」
「歴史上の人物もか」
「はい」
 まさにというのだ。
「誰もです」
「お手本にはしなかったか」
「歴史上のどんな人よりもです」
「自分は偉いとか」
「ですからこの世で最もです」
「偉いと思っていたか」
「人がちっぽけな存在でしかないことも」 
 神と比べればだ、所詮人間は紙と比べると誰もがほんの小さな存在でしかないということは少し信仰を持ち学べばわかることであるがだ。
「全くです」
「わからないで」
「自分だけはです」
 エイミーに話した。
「この世でとです」
「それじゃあお手本になる人なんてね」
「存在せず勿論信仰心もです」
「なかったのね」
「神も仏も精霊もです」
 あらゆる尊い存在をというのだ。
「宗教関係のお世話になっていましても」
「信じなかったのね」
「その中にあるのは自分だけなので」
「それでふんぞり返っていたのね」
「そうでした」
 まさにというのだ。
「ただそれだけで本を読んでも」
「それじゃあ学べないわね」
「そうでした」 
 こう言うのだった。
「本を読んで学ぶ楽しむではなく」
「それでどうして読むんだ」
「何の為?」 
 テンボとジャッキーはセーラの今の話を聞いて首を捻った、読書とは学びかつ楽しむという為のものと考えているからだ。
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