邪龍復活
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ことにしたら、前金としてもらったんだよ」
「……っ!」
ウィザードはソードガンを握る力を増やす。
「お前、人間になりたいんじゃなかったのか……? 人間になるどころか、そんな化け物になってどうするんだ!?」
「急がば回れってね。最終的に人間になれるなら、僕はそれでいいんだよ」
グレムリンは吐き捨てる。
「君と違って、僕にはちゃんと人間になれるアテがある。そのためには、この力があった方がいいんだよ……」
「目的のために、ヤマタノオロチを……!」
「そうだよ?」
グレムリンが可奈美へ向き直った。
「丁度君たちがヤマタノオロチを倒した後だったかな。封印もまだ固まってなかったし、ちょっと力を拝借したんだ」
「……!」
可奈美はきっとグレムリンを睨んだ。
「折角大荒魂になったんだ。刀使を倒すのが筋ってものかな?」
「……」
鋭い目つきのまま、可奈美は無言で懐からそれを取り出す。
小さな棒に無数の鈴を付けたそれ。可奈美はそれを鳴らし出すと、鈴より光が漏れ出した。
それを見た途端、ヤマタノオロチの首が震える。
「なるほど……どうやらそれが、対ヤマタノオロチの切り札か」
グレムリンがそう認識した途端、ヤマタノオロチたちの首が動き出す。
八本のうち、四本の首が可奈美を血走った目で可奈美へ迫る。
だが、可奈美は軽い足取りでヤマタノオロチたちの猛攻を回避していく。ジャンプし、千鳥でその上から圧し掛かって来た首を切り裂く。さらに、身を翻して体を回転させ、蛇たちの首を回避する。
着地と同時に鈴祓いを鳴らし、
「祭祀礼___
「そんなもの、させないよ!」
一瞬の光が、可奈美の体を覆っていく。
だがそれは、可奈美の地下から出現した蛇によって遮られる。
「え」
宙に投げ出された可奈美へ、蛇の口から雷が放たれた。閃光は的確に可奈美の手から目覚めの鈴祓いを弾き飛ばし、神具は夜の闇の中に消えていった。
「しまっ……!」
一瞬、可奈美の気が飛んで行く鈴祓いに反れた。
その隙を、グレムリンが見逃すはずがない。蛇の頭が可奈美へ頭突き、その小柄な体を大きく吹き飛ばす。
「うわっ!」
「可奈美ちゃん!」
ウィザードは叫ぶ。
地面を転がった可奈美へ、容赦なくヤマタノオロチの首が絞め上げていく。
「うっ……ぐあああああああああっ!」
ぎちぎちと締め上げられ、可奈美が悲鳴を上げていく。彼女の手から千鳥が零れ落ち、写シが解除される。
それどころか、残り数本の首が可奈美へ牙を剥く。
「おやおや、どうやら、この蛇たちはその子に恨みがあるみたいだね」
グレムリンは、一番手頃な蛇の頭を撫でながら言った。
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