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Re:命が軽い魔法の世界でワイらは生きる
魔法少女育成計画thread people
【私は魔法少女だ】待て、話せば分かる…?【などと供述しており】
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―救護班がこっちに来るのだろうか。掲示板で最後に話した時からそれほど経っていないはずだが、翔にとっては随分長く感じられた。
 ふと、ベンチで横になっている原作読了済みの方へ目を向けた。仰向きで寝ている彼女の頬は血で赤い筋が一つずつあり、制服の方も少し血で斑模様を作っていた。

――血を拭うぐらいなら……。

 さっきまで目を覆っていた布をつかみ、それを彼女の頬へとこすりつけた。
 布の血で汚れていない部分で、少しでも頬の血をなくすように丁寧にこする。少し痛いかもしれないが、我慢してもらうしかない。
 血は少し固まっており、拭うのに少し手間取る。拭えてはいるが、汚れが広がってしまっている。布を一度水で濡らした方がいいのかもしれない。
 公園ならば水飲み場ぐらいはあるはずだ。ちょっとこの場を離れることにはなるが、何も数十分も離れているわけではない。多少は許されるだろう。
 翔はベンチの前から立ち上がり、周囲を見渡す。そういえば今は魔法少女に変身しているんだった。視線が少し低い。それでも、ここから少し遠くに水飲み場が見えた。蛇口もある。あそこならばと翔は歩こうとした。

「待って……ください」

 女性の声が翔の背面からかけられたのと同時に、誰かが翔の服をつかんだ事に翔は一瞬息が止まった。
 振り返ればそこには、今までベンチで寝ていたはずの女子高生が翔の袖をつかんでいた。
 目は開かず、けれどその手は強く握りしめられている。目が治ったわけではないと思うが、どうやって翔の位置を把握したのかは分からない。
 止められていた息が動き、空気が吸い込まれる。ほんのりと体が熱い。
 どう声をかければいいのか。そうして思考している時、またもや声をかけられた。



「あの! 原作読了済みさんと救出班の方ですか!?」



 女性の、それも子供の甲高い声だ。先に予期せぬことが起こったためか、今度はそれほど驚愕しなかった。
 原作読了済みに握られている部分に注意しながら振り返る。そこには、一人の女の子が立っていた。
 白い白衣を着た少女だ。恐らくは中学生程度か。それより少し幼いか。サイズの合っていない大きな丸眼鏡を前髪にかけて、腰の上程までで垂れ下がっている深緑色のネクタイが前にぶら下げた少女は、明らかに普通の人ではなかった。
 子供が遊びで大人の服を持ち出して着たような、そんなちぐはぐな恰好の少女の手には、これまた大きな注射器が 抱きかかえられていた 。
 いや、大きいなんてものじゃない。少女が両腕で抱いて、それで何とか運んでいるという程の、それこそ漫画の世界でしかお目にかかれないような注射器だ。とてもそれが人を治療するための道具とは思えない。

「え、あ、はい。そうっすけど……」
「あれ、なんで二人だけなんですか?
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