魔法少女育成計画thread people
【私は魔法少女だ】待て、話せば分かる…?【などと供述しており】
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◇桜之ジル子[12]――桜田遥
ジルはスキミーが作り出した扉を潜り抜けて、集合場所であるO市の公園へと向かった。
ジルの転移前の世界の事前知識が正しければ、そこはいざという時の緊急避難所としても使えるはずだ。魔法少女について未だよく分からない状況の中、近くにそういった所がある場所で集まる方がまだ良い。
何よりその公園には一つのモニュメントとして大きな一本杉が立っている。集合場所としてはこれほど最適なものはない。
公園へ着くと、スキミーが公園の端の生垣で囲われたベンチへ近づき、背中に背負っていた『原作読了済み』を横にする。応急処置として布――ジルの袖を引き裂いて作った――を目に巻いていたおかげか、すでに目から流れる血は止まっていた。頬へと続いた血も乾いている。
ジルはホッとため息を吐きかけるが、まだ事態が好転したわけではない。
まずは負傷している原作読了済みの治療だ。彼女からはまだ聞いていないことも多い。何より失明という重大な障害を負わせるわけにはいかない。
変身を解除した彼女は、どこにでもいるような普通の女子高生だった。
力を持たないただの人。未だ社会という荒波に放り出されていない子供。ジルたち大人が庇護しなければいけない存在でもあり、ジルのような警察官なら猶更守っていかなければいけない、それがジルの彼女に対して感じた第一印象だ。
そんな彼女から、若くして目から光を失わせるなんてことはあってはならない。そんな時、掲示板に治療魔法が使える魔法少女が名乗りを上げた。
ジルが提示した集合場所も彼女には心当たりがあるらしく、今こちらへ向かっているとの事だ。
この世界に転移してから随分と時間が経った。すでに東の空は白み初めており、遠目からだがいくつか人が公園の周りをうろついている。
ジルは改めて辺りを見渡す。寂れたブランコ。少し砂が外に散っている砂場。小さな子供達が喜びそうなものの置かれた公園に、一つ置かれた背の高い時計台。
雑草等は綺麗に刈り取られており、きちんと管理がされているのが伺える。
ジルは少し感慨深そうになりながらも、時計台の方へと目を向けた。
ジルはこの公園の事をよく知っていた。
幼い頃、休みのとれた父に連れられて遊んだブランコ。芝生ではよくレジャーシートを敷いて家族でピクニックに来ていた。砂場でも近所の同い年の子供と遊んでいた。
秘密基地を作った。おいかけっこをした。健全な子供なら一度はする遊びをジルは、この公園でしていた。
ここはジルの地元だ。すぐ近くにはジルの実家がある。
ジルにとって、今回の事件に巻き込まれたことは不運でしかなかったが、こうやって地元近くへ移動できたことは幸運だった。
時計台の時間は5時数分前。あと二時間と少しでこの時計台か
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