魔法少女育成計画thread people
【この】嘘だと言ってよ、魔法少女…【不運どもめ!】
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いるのか自明の理だろう。
追われている神父服の少女が『原作読了済み』だ。彼女の保護が、今回の作戦の最終目標だ。
何かが彼女の後ろで光った。同時にジルはホルスターから二つの拳銃を取り出し構えて二発撃った。
それは寸分違わずに、彼女の後ろから迫っていた凶器を弾いた。ぶっつけ本番の魔法の使用、それも下準備なしでの行使だったが、何とか凶器の軌道上を沿うよう撃ったおかげで弾くことが出来た。
しかし、このままではまずい。いち早く彼女にこちらの存在を知らせる必要がある。それならと、ジルは一呼吸おいてから、空気を吸い込むと、お腹の底からひねり出すように、遠い対岸にいる彼女へ声を投げた。
「光っ!!!こっちだぁああ!!!!!」
彼女の名前を口にして叫ぶことで、確実にこちらの存在に気づいてもらう。ジルのそんな目論見が通じたのか、彼女がこちらを向いてくれた。遠くからでも分かるように、端正な顔つきの少女だ。
忍者の少女に追われて焦っていた彼女の表情が少し緩んだ。
瞬間、彼女がこちらに向かって走る。目の前は川だ。ここを突破さえすれば合流することが出来る。
忍者の魔法少女が追加の凶器を投げた。まだ彼女との距離は開いていない。
すぐさま弾丸を相手の凶器の数だけ撃つ。あとはここを乗り越えれば、ジルたちの勝利だ。
ジルの眼球の中を光が走った。
何が起きたのか分からない。目の前を光が走ったと思えば、川が一瞬で干上がっていた。
地肌は露出し、川魚は抵抗するようにその上をはねている。
辺りの熱が超高温になっている。今の刹那の時間で、このような現象を引き起こしたのはいったい誰か。
ふと目の前に誰かが立っていた。
神父服の少女、原作読了済みだ。
いつの間に川を渡ったのか、ジルが見た限り川の横幅はかなりあったはずだ。もしかすると、先ほどの現象も彼女がやったのだろうか。
ひとまず、見るからに衰弱しきっている彼女を体を支えて、スキミーと共に扉へと向かう。ジルは彼女に肩を貸している横目で川の向こうを見る。忍者の姿はいない。
干上がった川は、すぐに周りの水が押し流して、水かさを減らして元へと戻っていた。
「は……ぇっ!? これ、って……血……!?」
スキミーが声を荒げた。今度はいったい何なのか。
スキミーが扉を開けて、彼女を支えながら、その口をパクパクと動かしている。その視線の先は、彼女と入れ替わるように突然姿を現した高校生程度の少女――変身を解除した原作読了済みだった。
原作読了済みの目から何かが流れている。涙だろうか、それがぽたぽたと流れ出て、地面へと落ちる。
明かりの少ない深夜のはずが、ジルにはそれの色がはっきりと見えていた。
赤黒い液体。ほとんどの生物の中に流れているそれ――血が、何の前
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