魔法少女育成計画thread people
【この】嘘だと言ってよ、魔法少女…【不運どもめ!】
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多くの住居が立ち並んでいた。商業地区と住宅地区を川で分けているようだ。
住宅地区側の鉄橋近くにある、一つの住宅の塀に一人の少女が佇んでいた。
星とハートをちりばめたかのようなワンピース姿の少女。外見年齢は十二歳程度。恐らく十二時を超えている時間で、そんな少女が外を出歩いているとなれば、いつもの遥ならばすぐに補導するはずだ。
だが、その姿は明らかにおかしい。傍らには高身長の大人でも屈まずに通り抜けられる程の、少女と同じ星とハートで飾られた扉が住居の塀に取り付けられている。
可笑しな姿に可笑しなモノ、可笑しな状況はジルが最近知った非現実的存在の魔法少女の特徴に酷似していた。
相手はこちらに気づいておらず、何かを待っているかのようにチラチラと川の向こうへ目を向けていた。
ジルは、挙動不審の彼女の元へ、魔法少女の走りで近づく。ジルが今いる場所から少女の元まではちょっとの距離しか離れていなかったため、気づけば目の前には少女がおり、そしてその少女がジルに向けて驚きの表情を向けていた。
「はっえっ……はぁ!? なんで! け、警察っ!? いえっ! あのっ違うんっすっ!! 俺は別に怪しいものじゃ!!」
「落ち着いて。私も魔法少女だ……掲示板の12番と言えば分かるか」
そういうと少女は、今度はまた別種の驚きの表情を見せた。ジルの姿を上から下へと眺めて、マジかと小さな声をこぼして顔を痙攣させていた。
彼女が今回の原作読了済みのいる場所を割り出した魔法少女、名前は『アイアイスキミー』というらしい。
掲示板で原作読了済みから本名を聞き出した彼女は、自身の魔法を使い、本人の元ではなく、少し離れたこの場所へ転移したという。
直接救助に行かない理由は最悪辿り着いた瞬間に襲われることを恐れたためで、取り合えず掲示板で合流するといったジルを、自身の魔法で生み出した扉とともに待っていたとの事だ。
ある程度は遅れるかもしれないとは思っていたが、もう少しスピードを上げるべきだったかもしれない。
「取り合えず、こちらはいつでも大丈夫っす。扉をくぐればあっという間に――」
ジルはスキミーの前に出て、河川敷の先を正面に捉える。スキミーの方も、突然ジルが動いたことに呆けていたが、次第にその顔はジルと同じ、河川敷の向こうを見ていた。
音が聞こえる。川の先だ。走っている足音だ。初めに聞こえた音は素足の人間が地面を走るような音。次に聞こえた音はゲタで地面を蹴る音。どちらも速いスピードでこちらに近づいてきている。
川の向こう、商業地区の裏路地から影が飛び出してきた。初めに飛び出したのは黄色のグラデーションで彩られた露出度の高い神父服を着た少女、その次に飛び出してきたのも露出度の高い忍者服を着込んだ少女だ。どちらがどちらを追って
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