魔法少女育成計画thread people
【この】嘘だと言ってよ、魔法少女…【不運どもめ!】
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かりとなるものは星と月と、いくつかの街灯だけだ。
一応、人目に触れないように路地に移動し、自身の身に着けているものを確認する。
服装は警察の正装。持ち物は警察手帳、拳銃、警棒、手錠、無線機、スマホ。
拳銃には五発の弾が込められている。汚れや傷はない。
無線機を取って使用する。しかし、声をかけても誰も応答しない。壊れてはいないと思うが、警察署と連絡が出来ないのは大きな痛手だ。
頭の中の掲示板に人が集まっている。
彼らもどうやら遥と同じ、気づいたら今までいた場所とは違う場所にいたらしい。
事が起きた時間も皆同じ。現在進行しているスレの先頭、1も詳しいことは知らない。
情報が足りない。
掲示板で事件被害者の一人が自身が魔法少女だと申告した。それに合わせて掲示板がざわつき、また自身が魔法少女だと申告するものが今度は複数人現れた。
魔法少女、現実に存在するはずのない架空の存在。それになったと彼らは言う。
何が起こっているのか理解できない。いや、そもそもこの状況だって全く理解のできない状況なのだ。
まさかと思う。しかし、頭ごなしに否定することは、遥にはできなかった。
こんな時にも嘘つく輩は一定数いるものだが、何もしないよりかは試す価値はあるだろう。
「――これは」
自身の口から、少女の声が漏れ出る。自分の声ではない。
先ほどまで家の塀にちょうど目線が合うほどの高さにいたはずが、気づけば塀を見上げるほどの高さになっている。
――身長が変わった?
体も、服装も違う。成人男性のごつごつとした手は、白魚のように白くて細く、しなやかな指を持った手に変化している。
腕もすらっとしていて、鍛え上げた男性の特徴である角ばった筋肉の面影すら見当たらない。
服装は警察服のように見えるが、この警察服は婦人警官の正装をよりファンシーにしたような華美な見た目だ。
極めつけは、警察服の上に巻かれたおびただしい数の弾帯ベルト。一つ一つが長く、全てが拳銃の弾だ。
遥は、これを知っている。動揺で思考が真っ白になりそうで、それでも遥の右腕は腰についているそれに手を伸ばしていた。
拳銃だ。それも、先ほど遥が確認したものではない代物だ。
遥は、それを目の前へと持っていく。桜の印が刻まれた黄金色の拳銃だ。
撃鉄から銃身にかけて徐々に螺旋を描くようにねじられた、現実ではありえないような構造の拳銃。
今度は左腕で、先ほど抜いた拳銃とは逆側の位置にある拳銃を抜く。
それも、黄金の銃とは同じような構造をしており、相違点はその色が白銀色で、黄金の銃とは姿かたちが対称になっているところだ。
これは、遥の魔法だ。
遥が姿を変えたのと同時に突如流れ込んだ、自身が知っているはずがない自身の情報。
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