魔法少女育成計画thread people
【作戦】いきなり遭遇してすみません!【いのちだいじに】
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ている転移者は、なんと光ただ一人らしいのだ。まだ誰かが黙っている可能性もあるが、光が先行して注目を浴びたのだからある程度は話しやすいはずだ。もっとも、自分一人だけ安全圏にいたいから情報を渡したくないというのも考えられるが。何はともあれ、掲示板内で最も情報を持っている人物というアドバンテージを得ることができたのは僥倖だった。まさに棚から牡丹餅とはこういうことを言うのだろう。
「あとは、みんなと合流すれば」
「誰だ、お前」
声が聞こえた。少女特有の高い声だ。そして、その声を聴いて、光は体の底から肝が冷えたような錯覚を覚えた。
体の向きを変え、声の主を見る。こういう時、咄嗟に構えを取ることができる人なんて一握りしかいない。光は自身の意思とは関係なしに強張った体を動かして、相手を見据えた。
その姿を、仮に10人が見たとすれば10人全員が振り返るだろう。それほど凄惨な姿をしていた。
隻腕隻眼の少女。
紅いマフラーに黒い忍者コスチュームを着こんだ少女。
目鼻立ちは綺麗に左右対称に揃っていて、まるでアニメの世界から飛び出たのか思わせるような美貌を持った少女。
つまりは――魔法少女だ。
彼女の、光に対して呼びかけた問いかけは、酷く冷たい。まるで刃物を直に押し当てられているのかと思わせるほどに、恐ろしかった。
怖い。怖い。怖い。
彼女の事は知っている。彼女の事はこちらが一方的に知っていた。
魔法少女「リップル」
魔法少女育成計画、通称まほいくシリーズの無印一巻。唯一アニメ化がされた無印から登場し、16人の魔法少女の内14人が亡くなった事件の、生き残り。
親友を殺され、その復讐として魔法少女を一人殺した、正真正銘、魔法少女をコロシタ魔法少女。
復讐者。
暴力のプロ。
それは余りに恐ろしく、そしてその立ち姿は、魔法少女の名にも恥じぬ程に、よく映えていた。
「――ぁ」
何か返事をしなければ。
なのに、どうしてか、体が言うことを聞いてくれない。
口が出るのは掠れた声ばかり。当然だ。
今日まで17年間生きた。その人生の中で、ここまでわかりやすい程の敵意を向けられたことがあったか。いや、あるわけなかった。
だからこそ、体がそんな、精神がそんな異常事態に混乱を生み出したのだ。
こうして考えることができるのは、光が常日頃から人と関りを持たずに、どんな状況でも脳を働かせていたからだ。
だが、考えても状況が良くなるわけがない。考えは考えだ。それが直接、現実に浸食するなんて、そんな魔法みたいなことは、あり得るわけがないのだから。
「……」
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