黄昏の海
[6/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
シャルロットさんの声に鈴さんが悔しそうに言う。今現在空中では『銀の福音』と『紅椿』による超高速戦闘が行われています。
あれではシャルロットさんの狙撃も不可能ですし、『崩山』は面での制圧が主なので箒さんも巻き込んでしまいます。
箒さんは1対1であるのにも関わらず展開装甲を局部的に利用することで不規則な動きを行い福音の攻撃を回避、それと同時に両手の刀でアクロバットのように攻撃を繰り広げている。
そしてその攻防は徐々に速度を上げ、その猛攻に福音が押され始める。
行ける、と私たちが思った瞬間、『紅椿』の動きが急に鈍った!
その途端、思い出した。あの『紅椿』の弱点……エネルギーの消費率。
だからこそ今まで展開装甲を使わなかったけど、今この時点ではフル稼働じゃないと圧倒できなかった……それが今、最悪のタイミングで切れた。
『ぐあ!』
その瞬間福音の蹴りが箒さんの腹部に直撃し、海へと落ちてくる!
『ちぃ!』
それを見た鈴さんが落ちてくる箒さんを受け止めました。
『ぐ……すまん鈴』
『謝ってる暇なんて……くっ!』
『二人とも危ない!』
鈴さんがそう言おうとした瞬間、動きの止まった二人に向かってエネルギー弾が降り注ぐ。そしてそれを……シャルロットさんが庇って前に出て『ガーデン・カーテン』による防御を試みる。
『ぐあ!』
強烈なエネルギー弾の雨を受けて『ガーデン・カーテン』の強固な3枚のシールドがわずか数秒で破壊され、その余波でISの装甲の一部を破壊されたシャルロットさんが弾き飛ばされた。
『舐めんじゃないわよぉ!』
シャルロットさんの稼いでくれた一瞬の時間で鈴さんが『崩山』による砲撃を開始する。確かに福音に対応する可能性の最も高かった武装……そう、だった。
拮抗したのは一瞬で、福音の砲撃は『崩山』を大きく上回る質量を誇り、あっという間にその均衡が崩れる。
『ああああああ!』
最後まで抵抗した鈴さんが遂に押し切られてエネルギー弾の爆風の中に消え、海に沈む。
『鈴ーーーーーーー!』
『くっ!』
エネルギー切れの箒さんからシャルロットさんは離れることができない。
福音が確実に止めを刺すために二人に向かって急降下してくる。
シャルロットさんが箒さんを庇うように近接ブレードとアサルトライフルを展開して前に出る。
『シャル……』
『ぐあ!』
ほとんど足止めすることも出来ずにシャルロットさんが海へと叩き込まれた。
残ったのは箒さんだけ………
ゴボゴボ……
空気が漏れる。大きな気泡が上へ、上へと上る。
箒さんの悲痛な声が通信から聞こえる。
場所は真上、海面10mの位置。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ