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[2]次話
ある家のウッドデッキの下。どういう訳でここに居るのかは記憶にない。ただ、親猫に首を銜えられて、運ばれてきて、そのままだったような感じがする。それから、腹がすいて・・・近くに居る茶色い虫なんかを追いかけて食べていた。慣れてくると、時々は、デッキの下からは出て近くを偵察するようにはなっていた。だけど トンビに襲われないようには気をつけるようにしていたのだ。
ある日、そこの住人だろう女の人が俺のことを発見して・・・俺のところに餌だろうものを運んでくれるようになった。それからは、毎日 朝 デッキの端のところに置いていってくれる。そして、ジロちゃんと声をかけていくのだ。初めて、食べるようなもので、白くて尖ったものなんかは苦労したのだが、嫌いな匂いじゃぁなかったので必死に噛み砕いていたのだ。
そんな生活が半年も続いただろうか、そこの女の子だろう・・・紙の箱に布切れを入れたものを運び入れてくれた。そろそろ、周りの樹も茶色くなってきたり、葉っぱが落ちて、地面の草もへたれてきた頃だった。確かに、寝ていても寒さを感じ始めていたのだ。だから、その中でくるまって寝ていると快適だった。今までよりもず〜っと暖かい。それに、有難いのは自分で食べ物を捕らなくても、向こうから運んできてくれるのだから・・。時たま無い時もあるのだがー。
俺は、どうしてあそこに居たんだろうかと、考えるようになっていて。あそこに首を銜えられて運んできたのは、俺の母親なんだろう。おそらく、何らかの危険を避けようとして、安全と思ったのだろう。でも、自ら俺を守れない事情があったのだろか。結局、見捨てられたことには違いない。だけど、俺はこうやって生きているのだ。感謝するべきなのだろうか・・・
そして、外は幾度か地面一面が白くなって、冷たいもので被われるということがあって、ようやく ジメジメとした土から緑の葉っぱが出てきた頃になって、俺も這い出して、近くを探索し出していた。
時々出会う黒猫。俺のことを見下すように「なんだ ノラ猫のくせに ガキがウロウロするな この辺りは 俺の縄張なんだからな」と、威圧してきている。俺は、喧嘩して戦うべきか、逃げるのか迷っていた。勝てるかあいつのほうが強いのか わからない。自分でも自信が無くて、顔を合わさないようにして、そっちに行くのを避けていた。結局、相手の威圧感に負けたのだ。
だけど、夜には俺の餌の匂いに連れられてかイタチがウロウロしてきた時には、シャーっと飛び出して、退散させていたのだ。その時には、勝ち誇ったような気分になっていたのだった。
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