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邪教、引き継ぎます
第四章
37.失われた呪文
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ってしまうと思う。だから、僕は君たちを炎で完全に炭にするか、胴体から首を切り離すしかない。それしかないんだ」
「いや、だから怖いって。負けを認めて帰りなよ」
「最悪、相打ちでもかまわない。僕はまだ戦える。ベギラマ!」

 隼の剣から放たれたその炎は、フォルたちを包み、大ダメージを与えるはずだった。

「!%♭☆$×▲※○□ ??」

 何やらフォルとタクトの聞き覚えがある声で、詠唱らしきものが聞こえた。
 声は聞いたことがあるが、言葉は今まで聞いたことがないものだった。

 フォルとタクトの間を、何かが一瞬で通り過ぎた。
 やや遅れて、両名の頬には刺すような冷気の痛み。

 そしてこの場に立っていた三人全員の目が見開いた。
 隼の剣から発せられた炎が、空中で氷に包まれ消滅したのである。

 サマルトリアの王子の視線が、フォルたちの背後へと向かう。

「君は――」

 フォルとタクトも振り向いた。

「あなたは……」
「おお、きみは!」

 フォルとタクトのもとへ走ってやってきて、膝に手を置いて中腰で呼吸を整えはじめたのは、大きなマフラーを巻き、銀髪に白い肌をした、小さな女の子だった。

「はぁ……はぁ……間に合った……」

 ロンダルキアの祠の少女、ミグアである。
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