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八条学園騒動記
第七百六十二話 餓鬼とはその六

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「人は何処までも上に至れますが」
「そっちの方が楽?」
「人の底を抜くまでは」
 そして堕ちるまではというのだ。
「そこまでです」
「餓鬼になるのは難しいのね」
「はい」 
 そうだというのだ。
「これが」
「そうなのね」
「ですがまことに稀にです」
「そんな人がいて」
「実際に餓鬼になります、また地獄に堕ちることも」 
 そうなることもというのだ。
「そうはです」
「ならないのね」
「はい」
 まさにというのだ。
「これが」
「人間の善悪はどちらも行われるか」 
 ダンはケーキを食べてから言った。
「そうか」
「そしてその測りはです」
「善の方が多いか」
「大抵は。ですが悪があまりにも多く」
 そうであってというのだ。
「それで人でなくなっているのなら」
「地獄に堕ちるか」
「そうなります、前科何犯で」
 そこまで悪事を犯していてというのだ。
「表に出ていないことも無数にある様な」
「そんな人は地獄に堕ちる」
「そうなるのね」
「はい、滅多にです」
 それこそというのだ。
「いませんが」
「そうした人は」
「そうなのね」
「平気で悪事を犯し」
「しかも反省しない」
「そうした人がです」
 まさにというのだ。
「地獄に堕ちます」
「世の中外道もいるからな」
 ダンはこの上ない嫌悪を込めて言った。
「ばれないと平気でばれてもだ」
「実刑にならないとですね」
「全く平気な奴がな」
「それならです」
「本当に平気で悪事を犯すな」
「どんな悪事も何度も」
「そうした奴が地獄に堕ちるか、地獄に堕ちるには相当なものが必要だが」 
 それでもというのだった。
「そうなるまでにな」
「はい、かなりです」
 セーラはまさにと答えた。
「悪事を重ねなくてはなりません」
「そうだな」
「善悪は天秤です」
「それで測られるか」
「ギリシア神話の様に」
「天秤座だな」
「はい、エジプト神話も然りですね」
 こちらもというのだ。
「善悪は天秤で測られますね」
「オシリス神だな」
「そうです、あの神の前で」 
 冥界の神である、その為死者の善悪の裁判を行い天秤を以てその悪事が善行より重いか軽いかを見極めるのだ。
「測られます」
「そうだな」
「ですが大抵はです」
「善行の方が大きいか」
「悪事の方が大きくとも」
 それでもというのだ。
「多少でそれ位ならです」
「地獄には堕ちないか」
「はい」
 そうだというのだ。
「修行を課せられる位ですね」
「やりなおし等か」
「そうです」
 まさにというのだ。
「今のエジプト神話では」
「そうだな」
 エジプト神話は連合で信仰されていてダンも知っていて頷くことが出来た。
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