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八条学園騒動記
第七百六十二話 餓鬼とはその五
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「取っ組み合いもしたそうだし」
「訳がわからないわね」
「ですが怒ったのです、そして」
 そのうえでというのだ。
「殴ってやろうかと言ったり」
「取っ組み合いか」
「そうでした」
 セーラが答えた。
「そうしたこともしました」
「言うだけでも酷過ぎるのにな」
「実際に暴力に訴えるなんてね」
「幾ら何でもな」
「犯罪やってなくてもね」
「まさに餓鬼だな」
「そうよね」 
 テンボもジャッキーも頷いた。
「そこまでなんてね」
「いいところがないにも程があるな」
「実際にいいところはないとです」
 セーラはまた答えた。
「言う人もいた位で私もです」
「見られないか、セーラも」
「その人のいい部分は」
「今お話した短所に加え」
 数多いそれ等だけでなくというのだ。
「吝嗇でしたし」
「しかも思いやりもなかったのよね」 
 エイミーが問うた。
「そうよね」
「優しい部分なぞ全くです」
「そうだったのね」
「しかもです」
 それに加えてというのだ。
「口だけは言う様な」
「動かないで」
「そうした人でもありました」
「本当に何もいいところがなかったのね」
「はい」
 そうだったというのだ。
「本当にいいところがない人もです」
「世の中いるのね」
「そしてそうした人はです」
「生きながら餓鬼になって」
「生まれ変わるとです」
「身体も餓鬼になるのね」
「住む世界は餓鬼道になります」
 そうなるとだ、セーラは話した。話すその顔は静かなものであり口調は実に淡々としたものであった。
「そうなります」
「世の中そんな人もいるってことね」
「流石に稀ですが」
「稀なのね」
「人が人でなくなることは」
 このことはというと。
「容易ではありません」
「そこまで堕ちることは」
「人のレベルは非常に多いです」
「一からずっとなの」
「あります、ですが底辺は」
 それはというと。
「一の床ですね、それは非常に分厚く」
「そう簡単に抜けないのね」
「滅多なことでは」
「だから餓鬼は滅多にいないのね」
「そうなのです」
「普通は上がっていくのね」 
 エイミーは人間のレベルはと述べた。
「一から」
「何処までも、そして」 
 人としてのレベルを上げていきというのだ。
「仏教では悟りですね」
「それに至るのね」
「そして悟りに至っても」
 そうなろうともというのだ。
「まだです」
「上があるのね」
「仏にもレベルがありますね」
「そうね」
 確かにとだ、エイミーは頷いた。
「天とか明王とか菩薩とか」
「仏と言っても色々ですね」
「如来が一番上だったかしら」
 エイミーは考える顔になって述べた。
「確か」
「そうお考えになって宜しいか
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