第七百六十二話 餓鬼とはその二
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「そのうえで、です」
「寄生虫にも苦しめられているか」
「しかもお腹の中で常に小さな爆発も起こります」
「そちらも痛いな」
「そうしたこともあるので」
「餓鬼はいつも苦しんでいるか」
「これ程辛いものはないかと」
セーラはダンに深く考える顔で話した。
「餓えと渇きだけでも」
「地獄よりも辛いか」
「そうも言われていますし」
仏教ではだ、六道で餓鬼道は地獄道の上にあるが餓鬼道の方を下と考えている人も存在しているのだ。
「まことにです」
「餓鬼は辛いか」
「堕ちますと、ですから」
「俺達は身を慎まないと駄目だな」
「今お話している人は慎みなぞです」
「全くなかったか」
「遠慮も感謝もなく」
そうしたものもというのだ。
「思いやりもなくプライドだけが」
「そこまで酷くて何でプライドあるのかしら」
エイミーは青茶を飲みつつ首を傾げさせて言った。
「一体」
「ですから何もないことを」
セーラは首を傾げさせたエイミーに答えた。
「自分でも実はわかっていて」
「それでなの」
「薄々でも」
そうであってというのだ。
「それでその裏返しにです」
「プライドだけ高いのね」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「そうした人こそです」
「プライドだけ高いのね」
「誰がどう見ても天狗になる程です」
そこまでプライドが高くなるというのだ。
「能力はなくとも」
「というか完全な無能よね」
「ですが」
「その裏返しね」
エイミーは今度は考える顔で言った。
「プライドだけ高くなるのね」
「ですがその実は」
「慎みなんてないわね」
「他のものも。ですが」
「私達としては」
「逆にです」
そうした人とはというのだ。
「慎み感謝し遠慮も備え」
「人を思いやることね」
「少しでもそうした感情を持ち」
そうしてというのだ。
「信仰もです」
「備えることね」
「はい」
まさにというのだ。
「そうであってこそです」
「いいのね」
「人は。餓鬼になりますと」
「とことん苦しむし」
「身体が人間の間も」
死んで餓鬼道に堕ち身体もそうなるまでもというのだ。
「誰が餓鬼を好きになるか」
「なる筈ないわね」
「そうですね」
「そこまで浅ましいと」
「もうです」
セーラはそれこそと話した。
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